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寄生輪舞パラサイトロンド
脅威度5/3人用/協力傾向/PK救世主/1ラウンド/鏡騒劇使用
シナリオ制作:うた
概要
あらすじ
……赤い靴の噂……

「赤い靴」とは、聖遺物に相当する不思議の品である。履いた者に際限なく力を与えるが、徐々に心身を支配していく。

ある救世主一味が所有していたが、一月前に内輪揉めにより全滅。赤い靴は救世主のうち一人の身体に寄生し、現在は王家の庭園を彷徨っているらしい。

きみたちは赤い靴を討伐するため、王家の庭園へと臨んだ。
注意点
高脅威度で高難度、かつプレイ時間は短めの、シンプルな救世主討伐シナリオです。

NOFUTURE MODとそれに関わるMODのみを使用しておりますが、ほとんどの場合敗北します。このシナリオにおける「喪失」とは、PCの喪失を指します。
動機
PCたちに以下の動機を選んで付与することができます。この他の動機を考えても構いません。
依頼
懇意にしている団体(公爵家/茶会同盟/GWC/モックスフォンド大学)から「赤い靴」の入手を依頼された。
成長
きみは力をつけることに積極的な救世主だ。数十回の裁判を生き延び、成長が停滞しつつある今、同格以上との裁判は絶好の機会だろう。
入手
赤い靴は危険な代物。ゆえに自分たちが手に入れるべきだ。その真意は善でも悪でも構わない。
関係
赤い靴を討伐しに行った救世主が帰ってこない。彼(彼女)はよく知る人物だ。できるなら救出したい。
使用MOD
NOFUTURE MOD
詳細はこちら。レベル3:NOFUTUREを採用します。
難易度変更MOD「救世主強化」
救世主PKを強化します。詳細は基本ルールブックをご確認ください。
お茶会MOD「ラウンド変更」
1ラウンドとなります。詳細は基本ルールブックをご確認ください。
進行
プロローグ
概要の通りに噂を聞き、大廊下を経由して王家の庭園(基本ルールブック→プレイス参照)を目指します。今のPCたちの脅威度であれば、辿りつくのは困難ではありません。その最中にでも、事前に付与した動機について回想するとよいでしょう。

王家の庭園に辿りつくと、PCの一人に向かってボールのような塊が飛来します。受け止めても避けても構いません。一瞬遅れて、その正体が人間の頭部であることに気が付きます。頭部が飛んできた場所に目を向ければ、少女が立っています。美しい髪よりも、無垢な瞳よりも、血のように赤い靴が目を引きます。
「あなたたち救世主ね」
「救世主の責務、何日か数えるのが面倒だから、見つけ次第達成するようにしてるの」

救世主は問答無用で襲い掛かってきます。PK「赤い靴と救世主」のキャラクターシートを公開してください。
救世主の外見描写
少女としていますが、赤い靴さえ履いていれば見た目と口調は自由です。動機で「関係」を選択した場合は、PCの知り合いの救世主と同じ姿にするとよいでしょう。正体は後述の「宿主の正体」を参照してください。
お茶会
逃げる、立ち向かうなどでお茶会を進行してください。シーン表は以下の「庭園シーン表」を使用します。
1D6 庭園シーン表
1 噴水広場。噴水は澄んだ水を湛えており、血に塗れても瞬く間に浄化される。
2 赤いバラの木が並んでいる。当然、その赤は人の血だ。
3 ガゼボのある一角。ここなら休息できるかもしれない。
4 クロケー場への道。巨大なトピアリーの迷路は圧倒的な遭難率を誇る。
5 女王のクロケー場。フラミンゴの亡者が首を狙っている。
6 王立裁判所前。なぜだかこの先へ行く気にはなれない。
PKの行動指針
横槍は毎回入れましょう。「ラストヤリイカ」は聖遺物を調達される時か、横槍の出目が4以上のときに使います。

手番行動では『妨害』を持っているPCの疵を優先して狙います。「ティーセット」「子山羊革の手袋」を使用し、○は必ず消しておきましょう。
裁判
追い詰めた、あるいは追い詰められた赤い靴が現れます。救世主らを死に至らしめる舞踏会、裁判の開廷です。裁判での行動は後述の「裁判での動き方」を参考にしてください。
エピローグ
勝利した場合
宿主の身体が塵と化し、赤い靴は動かなくなります。しかし、赤い靴は今も自我と不思議を宿しています。誰かが靴を履けば際限なく力を与え、心身を侵してしまうことでしょう。

この靴の処遇はPCたちに委ねられます。動機に合わせて自由にロールプレイしてください。
全滅した場合
救世主の責務として、全員一蹴りで頭を飛ばされて死亡します。キャラクターロストです。

もし今の宿主と同様に、【才覚】の高い救世主がいた場合、そのPCのみ頭を飛ばされず、代わりに新たな宿主となります。身体の自由が効かず、心も少しずつ歪められ、いずれすべてを喪うことでしょう。こちらも同様にキャラクターロストとなります。

宿主となったPCのプレイヤーがこのシナリオのGMになれば、続編を遊ぶことができます。
裁判での動き方
適切な行動をとれば、よほどのことがない限り普通のパーティーは全滅します。以下のパターンをよく読んで全滅を目指しましょう。
『仕込』
《猛毒》に関連する技能を持つPCがいる場合は『最高のバター』を手に入れてください。『眠り鼠のポット』『日刻みの時計』『免罪符』も候補になります。
基本行動 - 赤い靴と救世主
最初に『指揮』『啓発(聖餐→女王の脚)』で配下の威力を上げます。『指揮』は疵に余裕があれば逆転、なければアリスのエプロンで無理矢理通しましょう。ワンダーが発動するまでに入れておくのが理想です。以降は毎ラウンド『再起』を女王の脚にかけます。

『連携』で高達成値、高火力を狙います。特に女王の脚への『連携』は2D6+15の達成値となるため、『妨害』の上から成功できる可能性が高いです。
基本行動 - 女王の脚
『再起』を貰って2度の『女王命令』を撃ちましょう。『聖餐』も『再起』で再使用可になるので、威力が安定するまでは1ラウンドに2度使用しましょう。

『女王命令』の対象選択が重要です。『背水』を持っていてまだ全体化していないPCや、『仇討』『報復』が使える状態にあるPCは対象から外すのが無難です。『防壁』を持つPC→他のPCの順に狙うと、『防壁』PCが〈昏倒〉したときに無駄がありません。
基本行動 - 背水の脚
『背水』の対象の選び方は女王の脚と同様です。

背水の脚のHPを1にすれば、『背水』の対象が好きなだけになります。『陣形!!』による肩代わりでHPを大まかに減らし、残りをワンダー『嫉妬のアリス』による不調付与(HP-2。HP0にはならない)と『聖餐』(HP減少は『陣形!!』で肩代わり可)で調整しましょう。
『嫉妬のアリス』の使い方
好きな対象にかけることができます。1人ずつ順番に状態を見て、適切な不調をかけましょう。
PK
手札にJ以上のカードが多いなら《封印》
背水の脚
『背水』が全体化しておらず、もう少しで全体化しそうなら《封印》
愛型PC
HPが潤沢なら《衰弱》、判決圏内なら《猛毒》
それ以外のPC
『報復』『仇討』『遊撃』『悪戯』などの厄介なJ以上技能を持ち、かつJ以上のカードが手札にあるなら《封印》、それ以外なら《猛毒》
『陣形!!』による肩代わり
背水の脚>女王の脚>救世主の順に肩代わりしましょう。ただし、HP0はならないように気を付けてください。ダメージが大きすぎる場合は「身代わり凶器」で無効化しましょう。
PK「赤い靴と救世主」
キャラクターシート
キャラクターシート:赤い靴と救世主
『靴は血と痴を踏み躙って踊る』

或る救世主に寄生した、自我を持つ靴です。救世主の精神はもはや原型を留めておらず、靴が望むとおりに動きます。

【才覚】に特化した能力は救世主の残骸です。データ上は配下でありながらも核と言える「赤い靴」自身は尋常ならざる猟奇性に包まれており、蝶のように舞い、象の足の如き脚力で万象を破壊する、暴力的な裁判を得意とします。

宿主が救世主である以上責務は存在すると考え、肉体の亡者化を防ぐために通りがかった救世主を無差別に殺めています。
宿主の正体
赤い靴はより力を発揮できる肉体を見つければ、身体を乗り換えます。基本的には噂通り、壊滅した救世主一味の一人が現在の宿主となりますが、動機で「関係」を選択した場合は、PCの知り合いの救世主が新たな宿主となったことにしてください。他にも、過去に出したNPCや、このシナリオでロストしたPCを新たな宿主にしてもよいでしょう。

いずれにせよ、宿主は心を喪っています。二度と戻ることはありません。
心の疵「力」
ここでの力は、肉体的な力、とりわけ暴力を指します。かの有名なアンデルセン童話「赤い靴」を知っていれば、歪みはすれど同じ靴だということが分かるでしょう。この赤い靴は人に憑き、暴力ダンス振るうおどるために生まれました。その心には善意も悪意もありませんが、その力に関わった者は皆破滅の末路を辿っています。

己がもたらす破滅を、更に圧倒的な力で、あるいは力ではない何かで阻止されることを、心の内では望んでいます。
「捻じ伏せる力。組敷く力。踏み躙る力。力がないと何も得られず、ただ奪われるばかり。だから人は私を求めるのよ。暴力ダンスの果てに自分を喪うとも知らずにね」
抉り方
シンプルに肉弾戦で上回ると抉れます。また、暴力に限らない心の力を見せつけることでも抉れます。
心の疵「仲間」
赤い靴はかつて人徳ある救世主の一団に保護されていました。自我のある靴を一人の人間として接し、暴力だけでは得られない温もりに絆されていました。しかし旅の最中、救世主同士の仲違いで壊滅し、赤い靴が全員にトドメを刺す結果となったそうです。その事実が、心の疵「力」をより強固にしています。
「弱い奴ほど群れたがるって言うじゃない。あなたたちも同じね」
「彼らとの旅に意味なんてなかった」
抉り方
この疵を抉る場合、末裔から噂を聞いたことにしても構いません。トラウマを煽るような仲の良さを見せたり、かつての仲間との日々を想起させることで抉れます。
あとがき
 高難度かつプレイ時間短めということで、デッドエンドに近いシナリオになりました。デッドエンドと違って、PKデータの事前に見ることはできませんが。

 ここまで難しいPKに挑戦するべき理由は基本的にはありません。あるとしたら、データに狂いたい時や、堕落の国で巻き起こる色々な悲劇を否定したくなった時でしょう。ルールブックの序文に書いたとおり、ここは悲惨な世界で、紡がれるのは悲惨なキャラクターたちの物語です。自身や自身の大切な人を誰かに奪われたり、傷つけられる可能性は0にはなりません。それでもうっかりPCに愛着が沸いて、「堕落の国らしい」展開から目を背けたくなったなら、世界の可能性を狭める対価としてPKのデータを凶悪にしましょう。差し出せるものが命の危険しかないのであれば、当然ですよね。

 もちろん、枷など嵌めずに堕落の国を描いていただけるのが一番です。データを凶悪にした上で嫌な抉り方をするのもよいでしょう。「絶対にこの疵だけは抉られたくない」と泣き叫びながら全力で横槍を入れ、なのに1が出てしまう瞬間、お待ちしております。