アリスの教練場
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プロローグ/???
GM ある日のこと。
お前は不思議な封筒を手に入れる。
宛名は間違いなくお前のものだが、差出人は不明だ。
いぶかしみながらも封筒を開けると、中には小奇麗な便箋と、10枚の銀貨が入っている。
便箋には次のようなメッセージが、これまた小奇麗な字で書かれていた。
拝啓、アリス。
愛しいアリス。
きみが目を醒ましてから100年の月日が流れました。
ぶっちゃけ、この国はもう駄目です。
兎は落下し、猫は干乾び、帽子は裂け、女王は壊れ、
大いなる暴力と死が、堕落した国に降り注ぎます。
残ったのは53枚のトランプのみ。
猟奇と才覚、愛によって救われるこの世界で
僕らは今も、新たなアリスを待ちわびています。
GM 珍妙な内容の怪文書に、首を捻るお前。
が、しかし。手紙を読み終わるや否や。
違和――その手紙が馴染みのない言語で記述されているにも関わらず、読めてしまったこと――に気づくよりも前に。
お前の視界は暗転する。
Hello, AliCe. Welcome to Fallen Wonder....
GM ――気づけば、お前は見知らぬ部屋の中にいる。
レンガ造りの壁。モザイク柄の石の床。低めのテーブル。暖炉。ティーセット。
そういった調度品類が視界に入る。
お前自身は……3つある木製椅子のうちの一つに眠っていたようだ。
そして、お前以外に2人。
お前と同じように、それぞれ別々の椅子に座って、こちらを見ている。
呆けているか、怯えているか、油断なく観察しているか……それはお前"たち"次第だ。
GM ……というわけで、ペンネ、真理、イェロウ。早速だがお前たち三人に動いてもらおう。
イェロウ ふむ。ここからが操作可能ムービーが終わると操作確認のため壁に向かって武器を振り回し、意味もなくジャンプや前転を繰り返しがちなシーンってわけだな。
真理 ぱちくり。瞼が開けば眼鏡を直すよ。頭を起こして、きょろきょろ……
「はれ……? ここは……あれ、私……」
ペンネ ちょっと呆けたようにあたりを見回す。
イェロウ 「……ようやくお目覚めか」 俺はそんなお前らを眺めつつ、落ち着いた様子で椅子に腰掛けている。
デスゲームフィクションに見られる娯楽の一つ。主催者が人を集め、一定のルールのもとに生き残りをかけた競争を行わせるの脇役によくある『既に起きている』ロールでいくぞ。
真理 「……あ、あなたは……あ、えと、あなたたちは……え、こ、これ、何?え、え、あれ……?」
ペンネ ……見覚えのない場所と分かった時点で、急いで外に出ようとする。
ごしゅじんさまのところから脱走した!と思われては、またただの奴隷に戻ってしまう。
それだけは避けないといけない……!
GM では、真っ先に扉へ駆け寄ったペンネは、外側から鍵が掛かっていることに気づく。
ペンネ 何度か乱暴に扉をがちゃがちゃして諦めて……なにか知ってそうなイェロウを疑い深げに見つめる。
イェロウ 「……そんな目ェしたって何も出ねえぞ。残念ながら俺もお前らと同じ立場さ。
 晩飯のカボチャを食べようとしたら手紙が入ってて、それを読んでたらいつの間にかここにいたんだ。
 お前たちも持ってんじゃねえか? 手紙と……この奇妙なコインをよ」 二つを見せる。
真理 「……手紙…… ……はっ、そ、そうだ!手紙!」
ペンネ 懐を確認してみよう。そういえば、なにか封筒を開いた気もする。
GM 手紙を探るなら、すぐに見つかる。六ペンスコインと一緒に。
真理 「……アリス。"アリス"っていうと不思議の……」
改めて手紙を読んでたけど……で、でもアリスは1人のはずだし、こんな……なんか、違う!兎に呼ばれてない!
GM 現代日本から来た真理は特に、不思議の国のアリスについて知っていてもおかしくないね。
知っているからといって、この世界で有利というわけではない残念ながら運命はダイスとカード次第だが、成功時に「物語知識を活用して無双する」という演出はできるのだが。
イェロウ 「大方、タチの悪ィ誘拐ってところかね。お前たちも王族か何かなんだろ」
ペンネ 「まさか。わたしを誘拐したところで――」 と応えて口をつぐむ。
(おまえたち"も"? このえらそうな娘は王族なのか?
 わたしが奴隷身分と知れればどう扱われるかわかったもんじゃない……)
イェロウ 隠してる!この子隠してるよ!
真理 「……誘拐……そ、そうだ、誘拐……」 ペンネの内心にも気づく様子はない。
「……あ、あなたたちも同じ……なん、だよね。えっと……じゃ、じゃあ……犯人目つきが悪く口元を歪めた全身黒タイツ姿のイメージが帰ってくる前に逃げないと!!」
ペンネ 「こっちの扉はダメ。鍵がかかってる」 と、またガチャガチャ鳴らす。
イェロウ 「出口らしい出口は他に見当たんねえ。黒幕のお出ましを待つしかねえんじゃねーか?」
真理 「そ、そんな……」 愕然として……そ、そうだ、窓はあるかな?
GM 慌てて周囲を見回すお前。だが、この部屋には窓らしきものが存在しない。
ここで練習がてら、全員【才覚】で判定してもらおう進行ルールには無い、GMのアドリブ。前述のとおり、判定の練習とウォーミングアップのために行われたか。
真理 ええっと、確か……私は【才覚】がないから……7が目標かな。
GM そう。能力値をプラス修正として、2D6を振る。その結果が7以上になれば成功だ。
イェロウ やってみよう!
判定はペンネとイェロウのみ成功。ペンネは6と6――スペシャルを出す。
真理 ええ〜〜〜っ!? で、出目が高いよお〜〜〜!
ペンネ 緊張と焦りが奇跡を呼んだ!
GM ここでスペシャルか進行に無い判定なので、慌ててスペシャルのご褒美を考えている……ペンネ。お前は『おくすり誰かのHPを回復する小道具。その味は飲んだ者の好きな食べ物が混ざった味だとか』を一本見つけて、くすねても良い。
ペンネ 出口さがしに床のほうを気にしてたらなんか……あった! とりあえずひっそり持ってこ!
GM そして、【才覚】の判定に成功したペンネとイェロウは……
暖炉の上あたりに「ニヤニヤとした笑い」が貼りついているのに気づく。
顔ではなく、「笑い」だ。そうとしか言いようが無い。まるで暖炉近くの壁そのものが歪んで笑っているようにも見える。
イェロウ 「は?」
真理 「う、うぅ……ぶ、武器逃げられないなら武装して犯人を撃退すれば良いという、正しい猟奇型の発想……?だ、だめだぁ、女の子三人でなんて……」 その笑いには、全然気づいてないよ。
ペンネ 「……!!!」声のない悲鳴を上げて暖炉から飛び退り、気づいてない真理にわかるように指さす。
真理 「……?え、ど、どしたの…… ……わーっ!?」 つられて見て……びっくり仰天!
イェロウ 「お、おいおい……なんだありゃァ……」
GM ここでようやっと笑いに追いついて、口のようなものが浮かび上がる。
おそらくは人の顔。しかし、口が現れた時点で、待ちきれなかったかのごとく言葉が紡がれる。
??? 「ようこそ、堕落の国へ。愛しい救世主(アリス)たち」
ペンネ 「え……?」 現実離れした光景にちょっと色をなくしてふるえている。
真理 「お、おば、おば…………?……はっ」 こ、この登場の仕方……物語やゲームで見たことある!
イェロウ 「アリス……だぁ?」
GM 続いて鼻、目、と順に現れていく。髪、帽子。更にぴょこんと飛び出た猫の耳……。
??? 「僕はキュリオ。君たちに会えて嬉しいよ」
キュリオ
ハットから猫の耳が生えたなぞの人物。中性的な顔立ちのため性別は掴みにくいが、声の質から女性であろう事が分かる。

首から上だけの状態で、三人をニヤニヤと値踏みするように観察している。
真理チェシャニヤニヤ笑いだけを残して消えたり、その逆順に現れたりする、不思議の国のアリスにおけるトリックスター的存在……!…………じゃ、ない……?きゅ、キュリオ?」
キュリオ 「へぇ……君はもしかしてこの世界を知っている側の子かな」 真理の言葉に反応を見せる。
ペンネ 「……ねえ、人違いでしょう? わたしはアリスなんて名前じゃないわ」 生首に向かってか細い声で。
イェロウ 「てめェ……俺たちに何を求めてやがる。金か?」
キュリオ 「そうだね。君たちの質問に答える前に、まずは僕の話を聞いて貰えるかな。そのほうが、質問も減るだろうしね」
なんだかんだ言葉を交わしているうち、ほぼ全身が姿を現す。
縞々の中折れ帽にタキシードのようなものを着て、尖った杖を手にしている。そして猫の尾。
ペンネ (あっ一応にんげんっぽいな……よかった……) と思いつつ、警戒したまま聞く姿勢。
イェロウ その通りにしてやるか。足を組み、こちらも値踏みするように猫を見る。
真理 さっきの反応を見るに……まだ警戒が先に立つけれど、もしかして……と、ちょっとだけ思いつつ。
「……う、うん……」 二人の反応を不安げに見つつ、頷く。
キュリオ 全員が話を聞いてくれる姿勢になったのを確認すると、芝居がかった感じで長く息を吐く。
「いやはや、理知的な反応で助かるよ。実際のところ、この段階で暴力に訴えようとする救世主も多いからね。
 さて、まずは君たちがやってきたこの『堕落の国』について説明させてもらうよ」
GM そう前置きして、キュリオはお前たちに次の説明を行う。
ネズミの穴より小さく、大宇宙より大きい。井戸の底より近く、地球の真ん中より遠い場所にある。
歩くたびに世界が変わる、壮大で豊かな "不思議の国" ……の成れの果て。
空は昏く、海は濁り、草花は枯れ、民は飢え、そして、自我無き亡者が群れをなす。
堕ちた世界は少しずつ、しかし確実に、終末に呑まれようとしていた。
そうした現状を解決するためか、この世界には "救世主" と呼ばれる異世界人が続々と放り込まれている。
救世主の証は "手紙" と "六ペンスコイン" 。
キュリオ 「つまり……君たちこそが、この世界を救うべく招待された救世主様というわけさ」
真理 「不思議の国……救世主……」 ほーっと聞いている。興味津々。
イェロウ 「なんだそりゃあ? つまり俺たちは、勝手に呼び出されて、勝手に世界を救わされる、ってか?」
ペンネ 「冗談じゃない。わたしは早く仕事に戻らないといけないの。別の人を当たってくれる?」
イェロウ 「そーだそーだ、何の見返りもなく救いを求めるたぁ、浅ましいにもほどがあるぜ」
キュリオ 「残念だけど、そういうわけにはいかない。というよりも……僕にどうこうできる問題じゃないんだ。
 君たちがこの世界へと招待されたのは、この世界の意思だと言われている。
 そして、もし元の世界へ帰りたいなら……この世界を救うしかないともね」
イェロウ 「ああ!?……身代金目的の誘拐よりタチ悪ィ地域によっては誘拐はビジネス化されており、身代金さえ支払えば人質は返される。それに比べれば性質の悪い話であるじゃねえか!」
キュリオ 「僕に怒っても仕方ないよ」
真理 「え、えっと、でも世界を救うって言ったって…………どうやって?」
手をグーパーしてみる。……見た目には皆力持ちってわけでもなさそうだけど。
キュリオ 「そうだね、そのあたりについても説明しようか。
 まず――眼鏡の君。名前、教えてもらってもいいかい?」
真理 きょろきょろ…… 「……わ、私っ? ……」
(誘拐犯ならきっともう生徒手帳とか見てるはず……名前は教えても問題ない……) と自分の中で理由をつけつつ。
「私は……天鷲 真理……だよ。……あんまり、アリスって名前じゃないけど……?」
キュリオ 「アマワシシンリ……シンリか。うん。やっぱり、そうだと思ったすでに知っている事をわざわざ聞く。原作のチェシャ猫的な仕草」 勝手に何かに納得する。
「シンリ。君の言うとおり……戦いというものを知らない世界から来る救世主も多くてね。
 力の使い方をつかめないまま、亡者――生者を襲う化け物に殺されてしまうケースが近頃散見されるようになったんだ」
真理 「こ、ころ……」 思ったよりハードになってきた……
キュリオ 「それだと、救世主に役目を果たしてもらえないだろう?
 だから、僕たち『GWC堕落の国に存在する組織の一つ。チェシャ猫の末裔たちの秘密結社』のメンバーが新米の救世主を見つけた場合、
 必ず保護して、こういった『教練場』で、いわゆるチュートリアルをする事になってるんだ」
真理 (…………や、やっぱりゲームで見た展開だ!!)
ペンネ 「つまり、つかまえてきた救世主を、しなないよーに育てるのが、あなたのしごと……?」
キュリオ 「ああ。……捕まえてきた、と言うと語弊があるけどね。
 僕たちは何もしていない。君たちを招待したのはあくまで世界の意思だ」
ペンネ 「……はいはい」 こっちの身からすれば大差ないわー、と思いつつ了解しておく。
キュリオ 「ほかに何か聞きたいことはある?」
ペンネ 「もうひとつだけいいかしら? この……」
ペンネ 「これ(招待状と六ペンス)が救世主の証だ、ってさっき言ってたけど。
 もし手放したり、燃やしてしまったらどうなるの?」
キュリオ 「少なくとも招待状に関しては、持っていれば堕落の国の各地で便利な証明書として利用できる……ぐらいだね。
 そちらは燃やしてしまっても構わないよ。勿体無いけど」
イェロウ 招待状を見せれば各街で割引サービスが受けられたりするわけか……
真理 お得な無限クーポン券だ。
キュリオ 「問題は六ペンスコインのほう。こちらはあまり手放したりはしないほうが良いだろう。
 さっき言ってた、救世主の力に関わるからね。
 これは救世主の証であるとともに救世主の力を増幅してくれる、一種のアーティファクトなのさ」
イェロウ 「アーティファクト……こんなチンケなコインがねえ」
ペンネ 「ふうん……しょうがない、大事にしておくわ」
(手放したら帰れるかなと思ったけど、――まあ、生身で…もうじゃ? にやられる可能性を考えると粗末にはできないか。
 特権っぽい証明書は……ちょっとうれしいけど!)
真理 カバンからノートと筆記具を取り出して、これまでのことはメモにとっておこう。
「とりあえずメモは取っておくから、困ったら後で見返したらいいよね」
一応確認するけど、スマホも圏外だよね〜……
GM 当然。ただの照明装置ゲームによっては、暗闇での判定にかかるマイナス修正を無効化できるが、このゲームにはそのようなシステムは無いにでもするかね。バッテリーが切れればそれまでだ。
キュリオ 「ほかに質問がなければ、今日はこのぐらいにしておこう。
 初日は講義はナシで、レクリエーションをする事になっていてね。この後、教練場の案内をする事になっているんだ。
 それに、明日から暫く一緒に暮らしてもらうからね。互いの事も知っておいた方が良いだろう?」
イェロウ 「はぁ。じゃあなんだ、しばらくずっとこの施設か何かに監禁されるってか……最悪だぜ。
 この堕落の国ってやつは王族のスゴさアリガタさを露も知らねえ」
キュリオ 「これは失礼。王侯貴族の救世主というのは結構レア支配者階級はどの世界でも絶対数が少ない。更に、支配者と被支配者のどちらがより心に疵を抱えやすいかという話だからね。気が回らなくてすまない」
イェロウに今更仰々しいお辞儀を。
イェロウ (ふん……白々しいヤツだ)
キュリオ 「……それじゃ、僕についておいで、この建物を案内してあげよう」
GM キュリオは部屋の扉の鍵をあける。
ペンネ ついてくまえに急いで立ち上がったせいで乱れたであろう椅子をなおしとこ。
キュリオ これはどうも。ご丁寧に。
真理 「……あ」 ついて行く途中で、ふと立ち止まって二人のほうに。
「私はさっきの通り、天鷲 真理。まだよくわかんないけど……あなたたち、とりあえずこれからなんて呼んだらいいかな?」
イェロウ 「……。世界が違うと、俺の名を知らねえ奴が出てくるモンなんだなァ」 やれやれ、と肩をすくめる。
「パンプキングダムの第一王女、イェロウ・ペポ・パンプキング様だ。
 本来は不敬罪にあたるが、仕方ねえ。適当に呼ぶといいぜ」
真理 「パンプキングダム……!!」 はぁぁ……!と気圧されている……
ように見えるけど、実際はすごくメルヒェンな名前に衝撃を受けています。
ペンネ 「わたしのことはペンネと呼んでくれればいいわ、真理。(名字もないフルネームだとは……言いたくない!)
 そっちはイェロウね、わかった。(そしてガチの第一王女!もうやだ!!)
 しばらく一緒ということだし……よろしく、ふたりとも」
真理 「イェロウちゃんとペンネちゃん……だね。とりあえずよろしく……って感じで……」
同い年くらいの女の子だし……二人ともあんまり怖くはないかな?ちょっとほっとした。
キュリオ そんなやりとりをする三人を、満足そうに眺める架空のあごひげを扱くジェスチャ
GM さて、お前たちはキュリオに従ってこの建物の案内を受ける。教練場シーン表シナリオにあわせてオリジナルのシーン表を作成すると、PCの現状をプレイヤーに伝えやすくなるを出そう。
1D10 描写
1 居間。目覚めた時にいた部屋。椅子とテーブル、石炭、暖炉、ティーセットなどが一通り揃っている。
2 寝室。人数分の簡素なベッドと、暖かい毛布が用意されている。
3 物置。雑多な生活用品や農具が取り揃えられている。何か必要ならばここを探してみると見つかるかも?
4 書斎。座学はここで行う。詩や物語、キュリオが講義で使う教本が置かれている。暇つぶしにも良いかもしれない。
5 実習室。ここで疵の力の訓練を行う。見る人が見れば、なんとなく道場のような間取りにも見える。
6 水場。水を扱う設備が一箇所に集まっている。一日に使用できる水の量はかなり少なく、節約が必要。
7 クローゼット。一部屋丸ごとクローゼットになっていて、多種多様な服が用意されている。
8 キッチン。調理器具が保管されている。かまどがあり、ここにも石炭が用意されている。食料や水の備蓄もある。
9 玄関。ちょっとしたホールになっている。扉は硬く閉ざされている。
10 礼拝堂。小さな祭壇が設けられており、小規模ながらステンドグラスとオルガンもある。
GM この教練場には、以上のような施設がある。
一つ一つ、それらの部屋を見て回る。その後は夕食を取り、自由時間の後就寝。
ペンネ うわっ……いい毛布だ……最高じゃん……
真理 寝室も共同かぁ〜。寮みたい……ちょっと寝苦しそうだけど、まあ我慢我慢……
イェロウ 一人一部屋のロイヤルルームがあるわけじゃねーの!?まじかよ!
GM こうして――お前たちの異世界体験ツアーツアー旅行の良い所は、プロの立てた旅行計画を格安の価格で享受できる点だ。時間を縛られるなど多少の不自由はあるものの、勢いで乗ったフェリーの到着地が工業地帯のど真ん中で途方に暮れながら一日歩き回る羽目になるなどといった素人にありがちな失敗をせずに済む初日は幕を閉じる。
GM ……イェロウ。お前はこの建物を案内されている間、真理が最初に指摘した窓の存在に気を配っていた。
イェロウ おう。【才覚】特化だからな。
GM だが、どの部屋にも窓は存在しない。
そればかりか、レンガの壁を叩いてみれば、思った以上にぶ厚いことが推測される。
当然、玄関の扉も開く事はない。見るからに頑丈で、叩き破るのは難しいだろう。
イェロウ (閉じ込める……あるいは、外敵から身を守る、ってところか……
 話を聞く限りサイアクの状況だが……一体外に何が待ち受けてるってんだ……?)
GM とりとめもない思考を重ねるうち……お前は眠りへと落ちていく。
プロローグ/1日目・書斎
GM 翌朝。お前たちはキュリオに呼ばれ、書斎へと集まる。
真理 「やっぱり夢じゃなかった……」
イェロウ 「ふぁ〜〜ぁ……」
GM キュリオは書斎の前のほうにある、教壇っぽいものに立っている。
キュリオ 「早速、座学から始めるよ。まあ、そんなにかたっ苦しいものじゃないけどね」
ペンネ (渋い顔)
真理 「……まさか異世界でまで勉強することになるとは……でも、まあ分からない事も多いし……」
イェロウ 「で、何を学ぶんだ?帝国学か?それともカボチャ力学カボチャ型の物体に働くモーメントや、カボチャとカボチャの間に働く引力などについて学ぶ物理学か?」
GM キュリオはお前たちに教本を配布する。
キュリオ 「この教本を使って、講義をしていくよ。
 ここを卒業するまでに君たちに学んでほしい事は『亡者堕落の国に蔓延る不死の怪物。ゾンビ』との『裁判』、『疵の力』の使い方。
 とにかく、亡者からの襲撃を受けても生き延びる事を最優先してもらいたいからね」
ペンネ 「……裁判?」
真理 「……アリスで裁判というと……」 巨大化してボコーットカゲを蹴り飛ばす音。もしくは陪審席をひっくり返す音てやる光景を想像する。
キュリオ 「君たちになじみの深い言葉で説明するなら、決闘とか戦闘とか。そんなところかな」
イェロウ 「つまり。有罪無罪を競い合って証拠をつきつけるアレたぁ違うんだな」
キュリオ 「残念ながら、この世界では争いが絶えなくてね。その解決手段は主に暴力原初かつ万能の法。文明社会においても消え去ったわけではなく、覆い隠されているだけである事実を忘れてはならないなのさ」
ペンネ 「ふうん……乱暴なのね、わかりやすいけど」
キュリオ 「そんなわけで……まあ、簡単に言うと戦い方だね。亡者の習性なんかについても教えるよ。
 教本の15ページを開いてみてほしい」
真理 「はーい」 ノートを取りつつ進めていこう。
ペンネ めちゃくちゃ高価そうな本印刷が発明されるまで、本とは高級品であった。ペンネの世界に印刷の技術は存在しなかったのだろうだが……? という気持ちでいっぱい。
GM お前たちが指定されたページを開くと……
そこには、写真(写真を知らない世界のお前には、精密画に見えるかもしれない)と
事細かく亡者の習性や身体的な特徴について網羅されたページが目に入る。
巨大変異仔犬(ジャイアントミュータントパピー)
2mほどの巨体を持ち、ややグロテスクに変異した仔犬の亡者。
生前を思わせる無邪気さだが、凶悪な殺傷能力を備えており非常に厄介。その愛くるしい(?)しぐさに攻撃を躊躇うと、じゃれつかれ押し倒されたうえで全身を引き裂かれ命を落とす。
ペンネ うわあ……
真理 ヤバそう!
キュリオ 「そこにはサンプルとして、実際に存在する亡者のデータを纏めてあるんだ。これを使って勉強していくからね」
GM 今回戦う亡者「巨大変異仔犬」。略して亡者犬だ。
このゲームでは、お茶会の開始時に敵対するNPC、通称「PK(Player Killer)」のデータが公開される。

肖像画

デッキ

技能






10
J
Q
K
A
イカサマ

基本

名前
種別
スート
脅威度
猟奇 才覚
六ペンス
HP

デッキ

技能






10
J
Q
K
A
イカサマ

宝物

凶器 威力 補足
衣裳 補足

心の疵

名前 詳細

配下

名前
特性
種別
脅威度
HP
威力
名前
特性
種別
脅威度
HP
威力
真理 えーと、女王命令対象二人に攻撃する事ができる、亡者専用の主動作技能。亡者のメインウェポン……二回攻撃してくる……
GM 軽く説明すると、精確判定の達成値を上昇させる、割り込み技能で頑張って達成値を高めて女王命令で二回殴る。
甘言インコは、甘言を囁いてくるインコの亡者。配下扱いの雑魚だ。
イモムシ商人は、何かの宝物を後生大事に背負っている亡者。こちらも配下。
真理 あ、この犬刹那シンプルにダメージを与えるだけの主動作技能だが、この技能の使用中には誰も割り込みができない持ってますよ王女。割り込みができない。
イェロウ サイアクだ! 俺の仕事は妨害誰かの判定の目標値を上昇させて失敗を狙う割り込み技能で割り込んで被害を防ぐことなんだぞ!
ペンネ 割り込みができないってことは防壁ダメージを減らしつつ庇って引き受ける、ダメージコントロール用の割り込み技能もできないのか……刹那さえとられなければなんとか止められるかな……