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It Happens All The Time.
脅威度1/対立傾向/ロール重視
シナリオ制作:水面
概要
あらすじ
あなた(PC1)はこの世界に来たばかりの救世主だ。右も左もわからないあなたに、この世界に来て二ヶ月ほどの救世主(PC2)は世界のことを教える。心の疵のこと、6ペンスコインのこと、亡者のこと、救世主の責務のこと……。

世界の過酷さを味わいながら、新たな世界での生活を始める。

しかし、本当の過酷さに直面するのはまだ先のことだった。
使用MOD
心の疵MOD「逆棘」
裁判開始直前に、すべての○の心の疵を●にします。すべての舐めが、決定的なタイミングにより抉りへと変わるMODです。
お茶会MOD「セルフ横槍」
自分自身に対する行動についても横槍ができるようになります。1対1だと横槍が入れられないため、入れられるようにするMODです。
ハンドアウト
脅威度1。末裔PCなし。
PC1
この世界に来たばかりの救世主であること
PC2
この世界に来て1ヶ月ほど
すでに救世主の責務を1度は終えた
世界の基本的なことについて、人に伝えられるくらいには知っている
このシナリオについて
ロール重視です。ゲームとして裁判の勝ち負けを楽しむこともできますが、それを主目的にするには不向きのシナリオです。
PC1がこの世界に来たばかりであることから、チュートリアル用にも使えます。
指示されている事項よりも、参加者の求めるように行うことを推奨しています。ハンドアウトや設定などは適宜やりたいことに合わせて調整するとよいでしょう。(脅威度や、この世界に来た時間など)
両方とも来たばかりの救世主でも出来るでしょう。
プレイヤーの片方がGMをすることでもプレイすることができます。
プロローグ
PC2がPC1に世界のことをしっかりと教える前提で記述していますが、必ずしも必要なことではありません。PC2の性格にあわせて物語を進めるとよいでしょう。説明しない場合、マスタリングや進行のアドリブ性が高まるでしょう。

説明する場合としない場合で、それぞれお茶会の展開が異なるため、両方記載してあります。
出会い
PC1は堕落の国に来て、荒野をさまよいます。どこまでいっても人影はなく、砂と岩、濁った空しかありません。そこにPC2が通りかかります。なにも知らないPC1に、PC2が救世主のこと、世界のことを教えながら、近くの村へと向かいます。
裁判と責務
PC1とPC2が話しながら歩いているところに、発狂した救世主が襲いかかります。ロールプレイだけで済ましてもよいですが、チュートリアル裁判を行ってもよいでしょう。チュートリアル裁判を行う場合、次の「チュートリアル使用データ」を参照してください。

撃退した救世主を、必ず殺させてください。このときに、救世主の責務(30日ルール)について伝えてください。これにより、二人の刻限が合わさることとなります。救世主の責務について教えない場合は、シナリオが分岐します。続くお茶会については、『お茶会(責務について教えない)』を参照ください。

なお六ペンスコインについては、獲得するものの枚数がほとんど増えないよう処理してください。
チュートリアル使用データ
サンプルキャラクター1
HPを半分にし、心の疵が両方抉られている(=発狂状態である)こと

関係がないので看破が乗りません
逆鱗に●分が乗ります
発狂の被ダメージ増加を忘れないこと
刹那が使えません
責務について教える場合
お茶会
お茶会開始時に、心の疵MOD「逆棘」、お茶会MOD「セルフ横槍」について掲載してください。
お茶会はラウンド1、2で前半後半に分かれています。1の終わりにマスターシーンが挟まります。
行動順番はPC1とPC2の任意ですが、チュートリアルであれば、PC2から行動する方が説明しやすいでしょう。
ラウンド1
ラウンド1では(堕落の国なりに)平和な村の暮らしを送ります。PC1、PC2が末裔に好意的であるならば、二人に敬意を払い、従順な末裔が世話をすると良いでしょう。シーン表は「辺鄙な村シーン表」を使用してください。
15日以内で日数を経過させてもよいでしょう。経過日数をダイスで決定してもいいかもしれません。
マスターシーン『惨劇』
最後に救世主を殺してから15日目に惨劇が起こり、街が壊滅します。極めて脅威度の高い救世主や亡者による破壊は、PCたちには太刀打ちできません。救世主や亡者の詳細は任意ですが、思いつかなければ「ジャバウォック」「バンダースナッチ」などを出すとよいでしょう。もしキャンペーンの1話であるならば、キャンペーンのラスボスとなるような敵を出すのもよいかもしれません。

PCたちは強敵の圧倒的な力を一目で理解し、逃げるほかないとわかるでしょう。もしそれまでに末裔と従順な関係を築けているなら、末裔がPCたちに、一頭の馬を提供し、逃げるよう進言するといいでしょう。末裔はPCに生き延び、世界を救済することを託して、死亡します。

惨劇は、この街が壊滅するだけで済みません。近隣の街や村々が、ことごとく壊滅してしまいます。これにより、PCらは他の救世主と出会うことが一気に難しくなることでしょう。
ラウンド2
ラウンド2では他の救世主を求めて荒野を歩くことになります。地図を見て、村や街があったはずの場所に辿り着いても、すべて壊滅していて何も残っていません。シーン表は「荒野シーン表」を使用してください。こちらも30日以内で日数を経過させてもよいでしょう。経過日数をダイスで決定してもいいかもしれません。馬については1手番ののちに死亡させたほうが、より絶望が深まることでしょう。
裁判
30日目。どうにか二人は街に辿り着くことができます。
しかし、喜びは束の間、街にはちょうど救世主が出払っており、他の救世主に出会うことはできません。
このままでは、二人とも救世主の責務をはたすことが出来ず、亡者と化してしまいます。
生き残るには、どちらかがどちらかを殺す他ありません。

裁判の開始前に心の疵MOD『逆棘』を適用し、全ての◯を●にしてください。心の疵が全て●であるとき、その救世主は発狂します。

シーンは街の中でもよいですし、荒野に出てもよいでしょう。
裁判後、発狂している場合、亡者化判定の処理を忘れずに行ってください。
どのような終わりを迎えるのかは決まっていません。
どう終わろうとも、それが二人の30日を過ごした結末です。
責務について教えない場合
お茶会
お茶会開始時に、心の疵MOD「逆棘」、お茶会MOD「セルフ横槍」について掲載してください。
お茶会はラウンド1、2通して同様のシーンとなりますが、途中マスターシーンが挟まります。マスターシーンは、ラウンド1終了時から、お茶会終了時までの間です。どこに挟んでもよいですが、迷ったらラウンド1終了時に挟んでください。

辺鄙な村での日常がお茶会となります。とても辺鄙な場所にあるため、めったに救世主と会うことはありません。救世主の責務について知らないPC1と、事実を明かさずにいるPC2の交流がお茶会となります。
PC1、PC2が末裔に好意的であるならば、二人に敬意を払い、従順な末裔が世話をすると良いでしょう。シーン表は「辺鄙な村シーン表」を使用してください。

25日以内で日数を経過させてもよいでしょう。経過日数をダイスで決定してもいいかもしれません。

行動順番はPC1とPC2の任意ですが、チュートリアルであれば、PC2から行動する方が説明しやすいでしょう。
マスターシーン『事実』
最後に救世主を殺してから20日目ほど。村から出て救世主を探す様子がないため、不思議に思った村の末裔が、PC1に救世主の責務について教えてしまいます。ここは辺鄙な村であり、近隣の村や街に出るまで、救世主でも15日はかかることを告げられます。
裁判
30日目。あるいは、どちらかが終わりを決めたとき。
このままでは二人とも救世主の責務をはたすことが出来ず、亡者と化してしまいます。
生き残るにはどちらかがどちらかを殺す他ありません。

裁判の開始前に心の疵MOD『逆棘』を適用し、全ての◯を●にしてください。心の疵が全て●であるとき、その救世主は発狂します。

シーンは街の中でもよいですし、荒野に出てもよいでしょう。
裁判後、発狂している場合、亡者化判定の処理を忘れずに行ってください。
どのような終わりを迎えるのかは決まっていません。
どう終わろうとも、それが二人の30日を過ごした結末です。
あとがき
 このシナリオは元々、16人の救世主と末裔らが殺し合うDoAシナリオ「16Jacks」において出した自PCの前日譚をシナリオの形式に書き起こしたものです。同じくパラダイスロストに収録されている、「In The Dark, Small And Wet Room」の、さらに前の話となります。
 個人的なエピソードである前日譚をシナリオに書き起こすということには含意があります。それは、「It Happens All The Time.」というタイトルの示すとおり、堕落の国という尺度でみれば、何度も繰り返されたよくある出来事の一回でしかない、ということです。それは堕落の国の過酷さや、無情さを示すことでもありますし、一方で、どんなにありふれて繰り返されたものであっても、そのひとが経験した一回というのは、まったく代替し得ない特別なことである、とも言えます。
 それはTRPGという遊びの本質の一つだと思いますし、誰かと誰かが出会うということの意味であり、どんなにありふれたものであっても、そのひとにとって特別なものにできるということだと思っています。