あらすじ
あなた(PC1)は6ペンスコインを失った救世主だ。それでも科される救世主の責務を果たすために、どうにかして他の救世主を殺し、あわよくば6ペンスコインを得なければない。その手立てはすくない。
あなたは末裔のふりをして娼館で働き、客として訪れる救世主(PC2)を殺すことを選んだ。
ハンドアウト
PC1
脅威度0
なんらかのかたちで6ペンスコインを全て失った
6ペンスコインを10枚所持しているものとして小道具を獲得すること
PC2
脅威度1
この国にいくらか慣れてきたが、まだまだ駆け出しの救世主だ
娼館にお気に入りの子ができた。あなたは恋をしている
このシナリオについて
極めて特殊なシナリオです。
ロール重視です。バランスのよい戦闘を楽しむにはおそらく不向きのシナリオです。
指示されている事項よりも、参加者の求めるように行うことを推奨しています。ハンドアウトや設定などは適宜やりたいことに合わせて調整するとよいでしょう。(脅威度や、この世界に来た時間、関係など)
ラウンド数は基本2です。多いとPC1有利です。
プレイヤーの片方がGMをすることでもプレイすることができます。
シナリオの詳細は、行動の主体となるPC1にのみ事前の開示を想定してますが、二人とも見る、あるいはどちらも見ないのも良いでしょう。ゲーム的な公平性を期す場合、どちらも見ないか、PC1だけ見ることを推奨しています。
使用MOD
心の疵MOD「逆棘」
裁判開始直前に、すべての○の心の疵を●にします。すべての舐めが、決定的なタイミングにより抉りへと変わるMODです。
お茶会MOD「クエスト」
ただし、脅威度0の救世主に有利なものが揃っています。
お茶会MOD「セルフ横槍(PC1)」
PC1のみ、自分自身に対する行動についても横槍ができるようになります。1対1だと横槍が入れられないため、入れられるようにするMODです。PC1だけ。
裁判MOD「不意を突く(PC1)」
PC1が行動順を決定できるようになります。またPC1は初めの手札を15枚引くことができます。(手札の上限は5枚で変わりません。引いたのち、5枚まで減らしてください)
PC1が終わらせると決めたとき、それが裁判開廷の合図です。
シナリオのカスタム案
PC2のHO「あなたは恋をしている」を無くす
PC1が積極的に心を奪うロールをしていく要素が強調されます。対立する結末になる可能性が強まります。
心の疵MOD「心の性感帯」を導入する
詳細はこちら。より恋の駆け引きをしている感じが強まります。データに反映させてもいいし、ロールだけでもいいでしょう。恋していなければ逆棘が適用されないのもよいでしょう。
第一手番を初対面にする
シナリオどおりだとお茶会の1手番目からすでに客としてとっているものとして始まります。PC2が舐められることで恋に落ちる過程をより強調することができます。
進行
プロローグ
PC1が娼館で働くことになった経緯、PC2が客としてやってくるシーンを描写すれば、すぐにお茶会にはいれます。
お茶会
PC1、PC2の順番で行動すること。
PC2が客として来た日を行動とし、すべてのシーンを、PC1が客を取る部屋で行うとよいでしょう。
安い娼館の部屋は小さく、窓がないためにいつも夜のようです。
クエスト
お茶会の各手番で行うことができます。クエスト1と6がPC1、2から5がPC2のみ行なえます。
クエスト1の効果でPC2がクエストを選ばされるのがこのシナリオの構造となっていますが、自分からクエストを選択することももちろん可能です。クエストは成功しても消滅しないことに注意してください。何度でも行える(行わせる)ことができます。
クエスト6は特殊なクエストで、展開が大きく変わります。使用を検討している場合は、内密でもGMに早い内に相談するとよいでしょう。
クエスト一覧
クエストNo.1(PC1のみ) 心を奪う |
概要 |
魅了し、引きつけ、意のままに動かす。 |
条件 |
PC1であること・PC2を舐める行動にのみ組み合わせられる。 |
目標値 |
7 |
消滅条件 |
お茶会終了と同時に消滅。 |
成功 |
PC2の次の行動のクエストを指示することができる。 |
失敗 |
PC1の心の疵を回復するか悪化することで、行動とクエストの両方を成功したことにしてよい。この決定はPC1が行い、PC2が内容を指示する。その際、心の疵についてPC1自ら相手に明かすこと。 |
クエストNo.2(PC2のみ) 心付けを渡す |
概要 |
あなたは相手に気に入られたい。だから、贈り物をする。 |
条件 |
PC2であること。 |
目標値 |
自動的に成功 |
消滅条件 |
お茶会終了と同時に消滅。 |
成功 |
PC2は凶器以外の宝物を全て破棄し、PC1は合計価値10以下まで衣装か小道具を獲得する。PC1が内容を指示する。 |
クエストNo.3(PC2のみ) 心を開く |
概要 |
あなたは相手をもっと内側に招きたい。だから、心の鍵を渡す。 |
条件 |
PC2であること。 |
目標値 |
自動的に成功 |
消滅条件 |
お茶会終了と同時に消滅。 |
成功 |
PC2はPC1に対し、技能による同意や許可を求められたときに拒否できなくなる。(主に調律について。他には伝授、貢物、愛染など) |
クエストNo.4(PC2のみ) 心を染める |
概要 |
あなたは相手を心から望む。だから、相手の望むままになりたい。 |
条件 |
PC2であること。 |
目標値 |
自動的に成功 |
消滅条件 |
お茶会終了と同時に消滅。 |
成功 |
自身のデッキから技能を一つ入れ替える。その際、PC1が内容を指示する。 |
クエストNo.5(PC2のみ) 心を解く |
概要 |
あなたは相手を信じ切っている。だから、装備を遠ざけても気づかない。 |
条件 |
PC2であること。 |
目標値 |
自動的に成功 |
消滅条件 |
お茶会終了と同時に消滅。 |
成功 |
凶器を『素手』に変更する。 |
クエストNo.6(PC1のみ) すべてを明かす |
概要 |
すべてを明かし、救世主であることを認め、許しを得る。 |
条件 |
PC1であること。
(このクエストを行う場合に限り、PC1はお茶会終了時に追加の手番を得てもよい。GMはお茶会終了時に確認すること)
|
目標値 |
PC2が成否を判断する。 |
消滅条件 |
成功するか、お茶会終了と同時に消滅。 |
成功 |
No.2を除くすべてのクエストで得た効果、心の疵MOD「逆棘」、裁判MOD「不意を突く(PC1)」を破棄し、裁判の相手を変更する。(PC2は6ペンスコインを3枚か6枚を融通し、能力値の合計が2、1の救世主としてそれぞれ作り直しても良い。GMの判断により、裁判を省略してもよい) |
失敗 |
No.2を除くすべてのクエストで得た効果、裁判MOD「不意を突く(PC1)」を破棄する。 |
シーン表
店にはPC2以外の客も来ます。来ない出目もあります。(全く他に来ない設定もまたよいでしょう)
手番と手番の間に振ったり、前の客がどんなだったかなどを決めたいときに使用してください。
1D12 |
客シーン表 |
1 |
あなたは誰も客に取らなかった。脱がされるべき店のドレスと下着を自分で脱ぐ。 |
2 |
あなたは誰も客に取らなかった。代わりに店主の白兎の末裔が不機嫌そうに、あなたを抱く。 |
3 |
三月兎の末裔だ。喜ばせなくても勝手に喜ぶ。喜ばせればもっと喜ぶ。 |
4 |
白兎の末裔だ。あなたを救世主だとは気づかないため、その敬いが差し向けられることはない。 |
5 |
トカゲの末裔だ。長く辛抱強いという性質が、あるいはあなたに多くの仕事を求める。 |
6 |
コックの末裔だ。行き過ぎた胡椒への執着で、あなたに胡椒をふりかける。 |
7 |
帽子屋の末裔だ。ムードを求める。お洒落を解かせても、その帽子までは脱がせない。 |
8 |
眠り鼠の末裔だ。あなたには添い寝を求める。しかし、夢が休む場所でないことを知ることになる。 |
9 |
暴力的な救世主だ。力を知らしめ服従させる。うっかりあなたを殺しても、誰も咎められない。 |
10 |
紳士的な救世主だ。あなたを丁寧に扱うが、客と娼婦、救世主と末裔の一線を越えない。 |
11 |
末裔をつれた救世主だ。二人であなたを試したり、末裔とあなたの交わりを観て楽しむ。 |
12 |
前と同じ客だ。すっかりあなたをお気に入りにしている。 |
裁判
PC1が潮時を決めたそのときが裁判の始まりであり、すべての終わりです。裁判MOD『不意を突く(PC1)』を適応してください。
あるいは、新たな始まりを手にすることができるのでしょうか。
『すべてを明かす』が成功した場合は、GMの判断で任意の救世主を用意してください。場合によっては省略しても構いません。脅威度が相応であったり、あるいは格上の救世主でもよいでしょう。
あとがき
このシナリオは元々、16人の救世主と末裔らが殺し合うDoAシナリオ「16Jacks」において出した自PCの前日譚をシナリオの形式に書き起こしたものです。
他所行きではないからこそ、綺麗に着地する保証などない、ともすれば傷付くばかりで終わるかもしれない、手加減のない陰惨なシチュエーションは堕落の国という世界を私なりによく表現できたものと自負しています。
その結果、人間には耐えられるようにはできていないシナリオとなり、やるひとやるひとが盛んに悲鳴をあげるためか、かえってたくさん回していただきました。
心の疵に触れ合うことは、お互いをよく知っていくこと、見知らぬ誰か同士から、もしかしたら自分しか知ることのない内側を触れ合うこと。舐められるということは、心の深いところを触れられて、それを求めていても求めていなくても、相手の影響を受けてしまったということだと私は考えています。
世界の残酷によって喪失が約束され、嘘というナイフで互いに傷つきあう中、どんな結末を向かえるでしょうか。裏切りものとしてしたたかに生き抜くか、心に深々と傷痕を残すのか。あるいはなにか真実と呼べるものを見出すことができるでしょうか。いずれにせよ、語り継がれることはないでしょう。それは娼館の暗い部屋で交わされる、二人だけの話なのですから。