心の疵MOD「願望」
PCそれぞれに、心の疵の状態によって変化する「願望」が配布されます。エピローグの際、裁判の勝利者は「願望」を参照し、可能な限り内容に従って行動してください。
「願望」を秘匿するかどうかは、セッションの方向性に寄ります。話の着地点を作りやすくしたい場合は、キャラクター作成前に公開しておきましょう。
心の疵MOD「狂人」 ⇒ PC2のみ適用
セッション開始時点で心の疵が両方とも抉れ〈発狂〉しています。このMODの対象者は裁判開始時点で抉れている心の疵の数だけ、威力が増加します。
このMODで付与された〈発狂〉は、裁判開始時までに疵がひとつも抉れていなければ解除されます。
お茶会MOD「セルフ横槍」
自分自身に対する行動についても横槍ができるようになります。1対1だと横槍が入れられないため、入れられるようにするMODです。
お茶会MOD「クエスト」
詳細は基本ルールブック参照。ロールのフックとなるクエストがあります。
裁判MOD「サドンデス:8」
詳細は
こちら。8ラウンド目以降、毎ラウンドHPが0になります。
願望
PC1の願望
〈発狂〉していない ⇒ 籠の外へ向かう。
〈発狂〉している ⇒ PC2 に飼われ続ける。
PC2の願望
疵がひとつでも抉れている ⇒ PC1 を閉じ込め続ける。
疵がひとつも抉れていない ⇒ PC1 の「願望」を叶える。
進行
巻頭歌
アリス。愛しいアリス。
世界のどこにも居場所のないアリスたち。
籠の中で、ゆらり、ゆらりとお眠りなさい。
此処で得られるは、ささやかな平安。
やがて訪れるは、ゆるやかな死。
二人、手と手を取り合って。
同じ場所で終われたら、一体どれほど楽でしょう。
――それでも、死よりも苦しい明日を望むのかしら?
神様からも人間からも救われ得ぬ、哀しき二人のアリスへ捧ぐ
Dead or AliCe『鳥籠』
プロローグ
その日対峙した救世主は、心を奪う手段に長けており、あなたたちを徹底的に追い詰めた。辛くも勝利したけれど、刻まれた疵はあまりにも深い。
休息をとるために町を訪れるまではよかった。住人のいないあばら家を見つけてからは、いよいよ狂った。
あなたは囚われている。
ほかでもない、あなたの仲間の手によって。
ここでは、先の裁判で〈発狂〉したPC2がPC1を部屋に閉じ込めたその後を描きます。必要に応じて、PC2が敵救世主に疵を抉られたシーンや、PC2が監禁を決行するシーンを挟んでもよいでしょう。
ロケーションは、とある町の家屋。窓がひとつだけついており、外の景色を映し出しています。窓も扉も施錠されているため、誰にも気づかれずに抜け出すのは困難です。
PC1の自由をどの程度奪うかはPC2次第ですが、基本的に部屋の外へは出られません(PC2は可能です)。「願望」は裁判後に参照するため、裁判終了までは「脱出する」「閉じ込める」の二つで対立する構造となります。背景を確認し終えたら、お茶会へ移行しましょう。
お茶会
PC1は脱出するために、PC2は捕え続けるために、両者の疵に触れあうお茶会となります。
クエストを開示して進めてください。行動順はランダムとなりますが、相談の下決定しても構いません。
シーン表
シーン表が必要な場合、次の「時間帯シーン表」をご利用ください。
1D6 |
時間帯シーン表 |
1 |
夜明け。曇天が常ゆえに、夜のように暗い。窓の向こうで人影がまばらに映る。 |
2 |
早朝。馬のいななきが微睡みに響く。今日も馬車は人を乗せて何処かを目指す。 |
3 |
昼時。町の喧騒が遠く感じる。行き交う人々が籠の鳥に気づくことはない。 |
4 |
夕暮れ時。家を目指すこどもたち。その瞳は誰よりも希望に満ちている。 |
5 |
夜。人通りの途絶えた街角。松明の灯のそばで、夜の蝶が旅人を誘う。 |
6 |
深夜。虫の鳴き声ひとつ聞こえない。静寂の中、二人のアリスが佇むのみ。 |
クエスト
PC1のみ挑戦可能なクエストです。
クエスト:説得 |
条件 |
PC1のみ挑戦可。 |
概要 |
あなたはPC2の狂気が鎮まると信じている。ゆえに、共に外に出て、旅を続けるようPC2を説得する。 |
目標値 |
12 |
消滅条件 |
お茶会終了と同時に消滅。 |
成功 |
狂った救世主は何も答えない。しかし、その瞳には葛藤が宿っているようにも見えた。 |
失敗 |
暴力を伴う否定の返答。二人きりの籠の中で、それを阻む者は誰もいない。HPが1点減少する。 |
放置 |
何も起こらない。 |
クエスト:脱走 |
条件 |
PC1のみ挑戦可。 |
概要 |
あなたはもうPC2が元に戻るとは思えない。ゆえに、たった一人で脱出の手筈を整える。 |
目標値 |
12 |
消滅条件 |
お茶会終了と同時に消滅。 |
成功 |
脱出時に使える道具を揃えることで、離別への覚悟が決まる。もう隣に立つことはないだろう。 |
失敗 |
PC2に気付かれ罰を受ける。「二度としない」と答えるまで、入念なしつけが続く。HPが1点減少する。 |
放置 |
何も起こらない。 |
裁判
以下は演出の一例です。裁判への運びに困った場合に参照してください。
プロローグに記述の通り、扉も窓も施錠されています。PC1にとって現実的な退路は窓のみであり、しかし窓を割れば当然PC2に気づかれます。それでも生き続けるつもりならば、選択肢は一つしかありません。
裁判は、窓硝子を砕く音とともに始まります。たとえ凶器を奪われていても、硝子の破片はこの場に相応しい凶器となるでしょう。
耳をつんざく破壊音。それは、腐敗に沈みゆく心を覚醒させるには十分だった。割れた窓から外の空気が入り込み、アリス、あなたを自由へといざなう。けれど、それを許さないもう一人のアリスがここに。
心の疵MOD「狂人」の処理を適用します。PC2はこの時点で抉れている心の疵の数だけ、威力が増加します。もし疵がひとつも抉れていない場合は、〈発狂〉を解除してください。
エピローグ
勝者の「願望」を参照し、可能な限り内容に従って行動してください。これまでの流れに対して相応しくない内容となる場合はその限りではありません。勝者の望むとおりの結末を描いてください。
あとがき
疵が抉れて〈発狂〉したまま裁判が終わった時、亡者化判定に成功してもこのぐらいやっちゃっていいよなあ!? よくやってるので、よくやってることをシナリオにしてみました。
この話の悖戻とは、クエスト失敗時による暴力や、PC1への疵抉りなど、PC2がお茶会中におそらく積み立ててしまうであろう背徳の数々を指します。それに対する報責がどんな形でやってくるかは、PC同士の関係、選んだクエストの結果、疵の状態などで変わるのでしょう。