青い窓を見上げて
シナリオ制作:水面
イラスト提供:ハセ
内容にはシナリオのネタバレが含まれておりますのでご注意ください。
イラスト提供:ハセ
内容にはシナリオのネタバレが含まれておりますのでご注意ください。
概要
このシナリオは六ペンス20枚(脅威度2)のPC3人用、協力傾向のシナリオです。
既存PCでも新規PCでも可です。PCたちは既にある程度堕落の国で過ごしている前提で進みます。
それ以外の条件で遊ぶ場合、六ペンスの枚数と脅威度をPCの平均(切り上げ)に合わせ、配下と所持小道具の数を調整してください。
既存PCでも新規PCでも可です。PCたちは既にある程度堕落の国で過ごしている前提で進みます。
それ以外の条件で遊ぶ場合、六ペンスの枚数と脅威度をPCの平均(切り上げ)に合わせ、配下と所持小道具の数を調整してください。
共通ハンドアウト ― あなたたち4人は仲間だ
あなたがた3人とNPC『ラタス』はそれなりに長くパーティを組んでいる仲間だ。
共に歩き、共に戦い、救世主を裁判で殺してきた。
共に歩き、共に戦い、救世主を裁判で殺してきた。
背景
どんなシナリオ?
裁判を終えた翌朝。あなたがたの仲間である NPC『ラタス』 がパーティからいなくなっていた。あなたがたに別れを告げずに去る仲間を、あなたがたは追うことにした。
旅の最中、あなたがたはラタスは救世主を殺して生きることに疲れ、『狂飆の頂』(きょうひょうのいただき)を死に場所に選んだことを知る。説得は叶わず、ただ旅を通して言葉を交わすことしかできない。
これは死を選んだ仲間が死にゆく30日間を共に過ごし、その最後を見届けるロードムービーのシナリオです。あるいは才覚型の取り繕いヘラヘラ男を素が出るまで心で殴るシナリオです。
追跡する、長距離移動を繰り返す、仲間と過ごした過去を振り返る、やり残した何かに取り組む、難所に挑む、と様々なシーンがあり、クエストもたくさんあります。省略の上手いGMでも、通常のDead or AliCeのシナリオよりいくらか時間が掛かるシナリオになるでしょう。1シナリオだけでキャンペーンを遊んだようなプレイ感を意図しています。
NPC『ラタス』をどう動かすかがこのシナリオの主軸になります。多くの指示事項やテキストでその補助をしていますが、厳守、再現するよりも、GMが独自の解釈で動かすことを推奨します。
最後にラタスが亡者となって戦うことは、キャラクターシートを見るとわかってしまいます。あえて公開してもよいですし、そのときを迎えるまで公開しないでもよいでしょう。そのためにお茶会MOD『情報秘匿』を推奨しています。
旅の最中、あなたがたはラタスは救世主を殺して生きることに疲れ、『狂飆の頂』(きょうひょうのいただき)を死に場所に選んだことを知る。説得は叶わず、ただ旅を通して言葉を交わすことしかできない。
これは死を選んだ仲間が死にゆく30日間を共に過ごし、その最後を見届けるロードムービーのシナリオです。あるいは才覚型の取り繕いヘラヘラ男を素が出るまで心で殴るシナリオです。
追跡する、長距離移動を繰り返す、仲間と過ごした過去を振り返る、やり残した何かに取り組む、難所に挑む、と様々なシーンがあり、クエストもたくさんあります。省略の上手いGMでも、通常のDead or AliCeのシナリオよりいくらか時間が掛かるシナリオになるでしょう。1シナリオだけでキャンペーンを遊んだようなプレイ感を意図しています。
NPC『ラタス』をどう動かすかがこのシナリオの主軸になります。多くの指示事項やテキストでその補助をしていますが、厳守、再現するよりも、GMが独自の解釈で動かすことを推奨します。
最後にラタスが亡者となって戦うことは、キャラクターシートを見るとわかってしまいます。あえて公開してもよいですし、そのときを迎えるまで公開しないでもよいでしょう。そのためにお茶会MOD『情報秘匿』を推奨しています。
救世主 ラタス
キャラクターシート『ラタス』
※シナリオでは参照しないデータです。事前に共有すると良いでしょう
※シナリオでは参照しないデータです。事前に共有すると良いでしょう
ラタスはスチームパンク世界から来た救世主です。冗談が多く、皮肉屋で、スリルを好みます。茶化すように笑って話し、物怖じせず誰とでも喋ります。ナイフを武器とし、手品のように操ります。発煙筒を用い、黒い煙に紛れて相手を攻撃します。そのため黒いコートを纏い、ナイフは黒く塗り込まれています。じん肺が深刻な世界であり、人工肺を装備しています。
MODの適用
このシナリオでは、以下のMODの適用を推奨しています。
適用するMODの内容は、あらかじめプレイヤーに伝えておいてください。
適用するMODの内容は、あらかじめプレイヤーに伝えておいてください。
お茶会MOD『PK追加行動』
PKが横槍しないことを条件に、PKの行動回数が2回増えます。(計5回)
プレイ時間にゆとりがあるならば入れるとよいでしょう。お茶会が3つのパートで分かれているため、それぞれで行えるロールが異なるためです。各パート1度ずつは少ないな、と思った際に導入してください。
プレイ時間にゆとりがあるならば入れるとよいでしょう。お茶会が3つのパートで分かれているため、それぞれで行えるロールが異なるためです。各パート1度ずつは少ないな、と思った際に導入してください。
お茶会MOD『情報秘匿』
PKの構成が裁判開始まで公開されません。
事前に対策を検討できず、参照して技能変更が出来ないため、プレイヤーに不利です。このシナリオはPCに有利なクエストが多数あるためそれにより帳尻を合わせています。プレイヤーの経験によっては導入しない方がよいかもしれません。
事前に対策を検討できず、参照して技能変更が出来ないため、プレイヤーに不利です。このシナリオはPCに有利なクエストが多数あるためそれにより帳尻を合わせています。プレイヤーの経験によっては導入しない方がよいかもしれません。
進行 - プロローグ
1.救世主の殺害
描写
0日目。
黒い煙が立ちこめる。
「死んでっ! 死んでよ!!」
絶叫。救世主の少女は血に濡れた大きな斧を振りかぶる。
その斧は〈PCの誰か。才覚型推奨〉に狙いを定めていた。
「うぐっ」
少女の動きが止まる。
「悪いが他を当たってくれ」
ラタスは亡霊のように煙から姿を現す。
少女の背には、黒く塗り込まれたナイフが突き立てられている。
「く、そっ……!」
「今だ、〈PCの誰か。猟奇型推奨〉」
救世主の少女を昏倒させると、
黒い煙――ラタスの撒いた煙幕が風に流され消えていく。
取り囲む人々の喧噪が蘇る。ここは村の広場だ。
悪さをする救世主を倒すよう依頼されたあなたがたは、見事彼女を打ちのめした。
村人の歓声に賑わう最中、倒れた救世主を見下ろして、ラタスは笑いながら問う。
「それで、どうする?」
黒い煙が立ちこめる。
「死んでっ! 死んでよ!!」
絶叫。救世主の少女は血に濡れた大きな斧を振りかぶる。
その斧は〈PCの誰か。才覚型推奨〉に狙いを定めていた。
「うぐっ」
少女の動きが止まる。
「悪いが他を当たってくれ」
ラタスは亡霊のように煙から姿を現す。
少女の背には、黒く塗り込まれたナイフが突き立てられている。
「く、そっ……!」
「今だ、〈PCの誰か。猟奇型推奨〉」
救世主の少女を昏倒させると、
黒い煙――ラタスの撒いた煙幕が風に流され消えていく。
取り囲む人々の喧噪が蘇る。ここは村の広場だ。
悪さをする救世主を倒すよう依頼されたあなたがたは、見事彼女を打ちのめした。
村人の歓声に賑わう最中、倒れた救世主を見下ろして、ラタスは笑いながら問う。
「それで、どうする?」
シーン:村の広場
NPCのラタスを含めたPCたち4人が、別の救世主を裁判で昏倒させたところから始まります。彼らは以前救世主を殺してから長い時間が経っており、そろそろ殺さないと『30日ルール』に抵触してしまいます。そのため、この救世主を殺さなければいけません。
誰も殺そうとしなければ、ラタスが心臓をひと突きします。
荷物を漁ると6ペンスコイン10枚とこの村で奪った食べ物、そして地図が出てきます。特に何の変哲もない地図のように見えますが、それを見たラタスは手を止め、目を細めてそれをじっと見ます。
それを問えば何でもないように、笑ってごまかします。
「今夜は宴だ!」
PCたちの勝利に、村人が宴の準備を始めます。さして贅沢なものにはなりませんが、楽しい一夜になるでしょう。
誰も殺そうとしなければ、ラタスが心臓をひと突きします。
荷物を漁ると6ペンスコイン10枚とこの村で奪った食べ物、そして地図が出てきます。特に何の変哲もない地図のように見えますが、それを見たラタスは手を止め、目を細めてそれをじっと見ます。
それを問えば何でもないように、笑ってごまかします。
「今夜は宴だ!」
PCたちの勝利に、村人が宴の準備を始めます。さして贅沢なものにはなりませんが、楽しい一夜になるでしょう。
補足
これは救世主の死に始まり救世主の死で終わるシナリオです。冒頭の0日目という表記はシナリオ開始を示すとともに、30日ルールとしてのカウントです。折に触れて日数を提示するとよいでしょう。
暴れる救世主の少女もまた30日ルールに追われた救世主で、自棄になって村を荒らすことで、他の救世主を呼び寄せようとしたのです。しかし彼女は1人で、彼らは4人。多勢に無勢でした。冒頭の戦闘は、4人がパーティーとして成立していたとき、どういう風に戦っていたか、関係していたかを描写するために用意しています。また同時に、これらのラタスの攻撃がパーティーの方に向けられる前振りでもあります。
このシーンでラタスが救世主を殺すのは消極的であるべきですが、パーティーの全員があまり殺しに積極的でないなら、いつも、そして今回も率先して殺してきた方がらしいでしょう。ラタスの振る舞い方は、パーティーの人間関係を事前に検討し、どういう行動をしていたか考えておくとよいでしょう。
ここでは次のラタスの失踪に対して、何かしらの疑いの目を寄せて欲しいので、やや怪しまれるような態度や描写があると良いでしょう。
獲得する6ペンスコインは、すでに加算されたものとして処理してください。特に増えません。
暴れる救世主の少女もまた30日ルールに追われた救世主で、自棄になって村を荒らすことで、他の救世主を呼び寄せようとしたのです。しかし彼女は1人で、彼らは4人。多勢に無勢でした。冒頭の戦闘は、4人がパーティーとして成立していたとき、どういう風に戦っていたか、関係していたかを描写するために用意しています。また同時に、これらのラタスの攻撃がパーティーの方に向けられる前振りでもあります。
このシーンでラタスが救世主を殺すのは消極的であるべきですが、パーティーの全員があまり殺しに積極的でないなら、いつも、そして今回も率先して殺してきた方がらしいでしょう。ラタスの振る舞い方は、パーティーの人間関係を事前に検討し、どういう行動をしていたか考えておくとよいでしょう。
ここでは次のラタスの失踪に対して、何かしらの疑いの目を寄せて欲しいので、やや怪しまれるような態度や描写があると良いでしょう。
獲得する6ペンスコインは、すでに加算されたものとして処理してください。特に増えません。
2.ラタスの失踪と置き手紙
シーン:宿
昨晩は宴でした。
そのあと、感謝された村人にただで宿屋に泊めてもらったPCたちは目を覚ましますが、そこにラタスの姿はありません。荷物もありません。その代わり、枕元に手紙が残されています。手紙は殴り書きで、インクが乾く前に折りたたまれて滲んでいます。
PCたちがそれぞれ自分の荷物を改めると、昨日の救世主から奪った地図がなくなっていることに気付きます。昨晩の記憶を辿ると、普段は酒を好むラタスが、一口も飲んでいなかったことを思い出すでしょう。
宿の主人に聞けば、明け方に出て行ったことを告げられます。村の人々に話しかけると目撃の情報は多数あり、出た方角などが聞けるでしょう。ラタスは南の方角に、急ぎ足で出て行きました。
そのあと、感謝された村人にただで宿屋に泊めてもらったPCたちは目を覚ましますが、そこにラタスの姿はありません。荷物もありません。その代わり、枕元に手紙が残されています。手紙は殴り書きで、インクが乾く前に折りたたまれて滲んでいます。
手紙
『バカやろうどもへ。
今まで楽しかった。用事ができたからこれでさよならだ。
精々元気でやってくれ。それじゃ ―― ラタス』
今まで楽しかった。用事ができたからこれでさよならだ。
精々元気でやってくれ。それじゃ ―― ラタス』
PCたちがそれぞれ自分の荷物を改めると、昨日の救世主から奪った地図がなくなっていることに気付きます。昨晩の記憶を辿ると、普段は酒を好むラタスが、一口も飲んでいなかったことを思い出すでしょう。
宿の主人に聞けば、明け方に出て行ったことを告げられます。村の人々に話しかけると目撃の情報は多数あり、出た方角などが聞けるでしょう。ラタスは南の方角に、急ぎ足で出て行きました。
補足
PCたちがラタスの失踪を知るシーンです。
ここでラタスが急いでいるのは、ギリギリまで決意に時間が掛かって、慌てて飛び出したからです。黙って出て行ったのはPCたちに引き留められたくないからですが、PCたちには何か怪しい行動をしているよう疑わせた方が良いでしょう。
もしお茶会でクエストを使わない場合、このままプロローグでラタスに追いついてしまったほうがやりやすいかもしれません。
ここでラタスが急いでいるのは、ギリギリまで決意に時間が掛かって、慌てて飛び出したからです。黙って出て行ったのはPCたちに引き留められたくないからですが、PCたちには何か怪しい行動をしているよう疑わせた方が良いでしょう。
もしお茶会でクエストを使わない場合、このままプロローグでラタスに追いついてしまったほうがやりやすいかもしれません。
進行 - お茶会
概要
このシナリオのお茶会は、『狂飆の頂』にてラタスが亡者になるまでの30日をシーンで描きます。それに向けて、日数経過や関係性、状態がシーンを進めるにつれて変化していきます。シーン都度、○日目と表記して日数を経過させてください。
概ね3つのパートに分かれています。進行を助けるためにクエストを使用します。
クエストは、1つクリアするごとに次のクエストが明かされるようになっています。連なるクエストを示唆することで、プレイヤーたちに緊迫感を与えるとともに、行動を誘導する意図があります。プレイ時間にゆとりがあるならば、行動部分とクエスト部分で別のシーンとしてロールしても良いでしょう。
シーンの都合上、初めはラタスの心の疵を開示していません。煩雑になるのを嫌うのならば、初めから解禁していても構いません。
ラタスの心の疵はラタスの隠された心情に依るもののため、プレイヤー独自で抉ることは難しいかもしれません。もし抉り方に困っているならば、ラタスの過去や、行動の理由を掘り下げて問わせると良いでしょう。無理に何か抉るようなことをしなくても、ラタスが言葉にして語ることで十分に抉ることができるでしょう。心の疵については詳細に後述してあります。
基本的なDead or AliCeのシナリオと同様に、これらクエストで進行を管理しなくても成立するシナリオになっています。以下の指示はおおよそのロール指針程度に参考にしてマスタリングするのも良いでしょう。
概ね3つのパートに分かれています。進行を助けるためにクエストを使用します。
クエストは、1つクリアするごとに次のクエストが明かされるようになっています。連なるクエストを示唆することで、プレイヤーたちに緊迫感を与えるとともに、行動を誘導する意図があります。プレイ時間にゆとりがあるならば、行動部分とクエスト部分で別のシーンとしてロールしても良いでしょう。
シーンの都合上、初めはラタスの心の疵を開示していません。煩雑になるのを嫌うのならば、初めから解禁していても構いません。
ラタスの心の疵はラタスの隠された心情に依るもののため、プレイヤー独自で抉ることは難しいかもしれません。もし抉り方に困っているならば、ラタスの過去や、行動の理由を掘り下げて問わせると良いでしょう。無理に何か抉るようなことをしなくても、ラタスが言葉にして語ることで十分に抉ることができるでしょう。心の疵については詳細に後述してあります。
基本的なDead or AliCeのシナリオと同様に、これらクエストで進行を管理しなくても成立するシナリオになっています。以下の指示はおおよそのロール指針程度に参考にしてマスタリングするのも良いでしょう。
補足
日数の経過については、以下の多重の意味合いを持っています。
シナリオの進行に応じて日数の意味合いが変わるように作られており、それを踏まえて演出するとよいでしょう。
初めの救世主を殺してからの日数
ラタスと旅できる時間の期限
ラタスがやりたいと思っていたことをやれる期限
ラタスが亡者になるまでの期限
狂飆の頂に登り始めれば、ラタスを殺す以外にない状況作り
青空に間に合うかどうかの期限
シナリオの進行に応じて日数の意味合いが変わるように作られており、それを踏まえて演出するとよいでしょう。
パート1 - 追跡
あくまでもラタスはPCたちとは敵対している、という拒絶の態度を貫こうとします。追い返すために多少傷つけることも厭いません。
めいっぱいPCに強く当たれる元気なラタスはここが最初で最後なので、存分に仲間の心を抉りましょう。
都合上、最初のクエストに成功するまで ラタスの心の疵(リンク先参照) を抉ることはできません。
クエストNo.1を開示し、お茶会を開始します。このパートのシーン表はルールブック付属の荒野シーン表を使用してください。
めいっぱいPCに強く当たれる元気なラタスはここが最初で最後なので、存分に仲間の心を抉りましょう。
都合上、最初のクエストに成功するまで ラタスの心の疵(リンク先参照) を抉ることはできません。
クエストNo.1を開示し、お茶会を開始します。このパートのシーン表はルールブック付属の荒野シーン表を使用してください。
クエストNo.1成功時
1日かけて追いかけ、PCたちはラタスに追いつきます。呼びかけるとラタスは、何でもない風を装って、「よう」と返事をします。別れを告げずに旅立ったことや、その理由を聞かれても、ラタスははぐらかします。
「おれは急いでるんだ。お前らに構ってるヒマはない」
深く食いつかれたり、訴求されたり、情に訴えかけられたら、ラタスはPCたちを邪険にします。「お前らとの関係はあれで終わりだ。おれはそのつもりだったんだが……」
「わからないなら、わからせてやるよ」
このままラタスの手番に入り、PCの誰かの心の疵を抉りましょう。
「おれは急いでるんだ。お前らに構ってるヒマはない」
深く食いつかれたり、訴求されたり、情に訴えかけられたら、ラタスはPCたちを邪険にします。「お前らとの関係はあれで終わりだ。おれはそのつもりだったんだが……」
「わからないなら、わからせてやるよ」
このままラタスの手番に入り、PCの誰かの心の疵を抉りましょう。
補足
追いつく演出が必要ですが、急ぎ足で追いかけたり、たまたま通りがかった商人の馬車に乗せて貰ったりしながら、仲間同士でおしゃべりして疵を舐め合ったりしてもよいでしょう。プレイヤーが悩むなら、GMはそうしたヒントを出してあげましょう。
クエストNo.1 ラタスに追いつく | |
---|---|
概要 | ラタスに追いつく |
目標値 | 8 |
消滅条件 | 成功するか、お茶会終了と同時に消滅 |
成功 | クエストNo. 2を開示する/ラタスの心の疵 に触れられるようになる |
失敗 | 3日経過する。その上で、HPを3減らすことで成功したことにしてもよい。 |
放置 | なし |
クエストNo.2 ラタスの思惑 | |
---|---|
概要 | ラタスが去った理由を聞き出す |
目標値 | 7 |
消滅条件 | 成功するか、お茶会終了と同時に消滅 |
成功 | クエストNo. 3,4,5,6を開示する |
失敗 | ラタスの行動を追加 |
放置 | なし |
パート1 - クエストNo.1成功時
1日かけて追いかけ、PCたちはラタスに追いつきます。呼びかけるとラタスは、何でもない風を装って、「よう」と返事をします。別れを告げずに旅立ったことや、その理由を聞かれても、ラタスははぐらかします。
「おれは急いでるんだ。お前らに構ってるヒマはない」
深く食いつかれたり、訴求されたり、情に訴えかけられたら、ラタスはPCたちを邪険にします。「お前らとの関係はあれで終わりだ。おれはそのつもりだったんだが……」
「わからないなら、わからせてやるよ」
このままラタスの手番に入り、PCの誰かの心の疵を抉りましょう。
「おれは急いでるんだ。お前らに構ってるヒマはない」
深く食いつかれたり、訴求されたり、情に訴えかけられたら、ラタスはPCたちを邪険にします。「お前らとの関係はあれで終わりだ。おれはそのつもりだったんだが……」
「わからないなら、わからせてやるよ」
このままラタスの手番に入り、PCの誰かの心の疵を抉りましょう。
補足
追いつく演出が必要ですが、急ぎ足で追いかけたり、たまたま通りがかった商人の馬車に乗せて貰ったりしながら、仲間同士でおしゃべりして疵を舐め合ったりしてもよいでしょう。プレイヤーが悩むなら、GMはそうしたヒントを出してあげましょう。
クエストNo.2 ラタスの思惑 | |
---|---|
概要 | ラタスが去った理由を聞き出す |
目標値 | 7 |
消滅条件 | 成功するか、お茶会終了と同時に消滅 |
成功 | クエストNo. 3,4,5,6を開示する |
失敗 | ラタスの行動を追加 |
放置 | なし |
パート1 - クエストNo.2成功時
「……クソみたいな殺し合いは降りることにした。おれはこんな世界からおさらばする」
「おれは『狂飆の頂』に行く」
救世主から奪った地図には『狂飆の頂』の場所も示されています。『狂飆の頂』はいつも台風が渦巻いている山岳であり、めったに人が立ち入ることはありません。『狂飆の頂』についてひとつ噂があり、尽きることのない嵐の中心部には、雲ひとつない青空があるという噂です。問われれば、そこから元の世界に戻れるという噂がないことも開示してよいでしょう。
「やり方があるんだよ。誰も彼もってわけにはいかない。そりゃ全員が抜け出せるんならそうしたさ。何も意地悪してえわけじゃない」
ラタスは笑いながら言います。その方法を明かすことはありません。
「それより。おれは堕落の国を後にする。だからそれまでにやりたいことをリストアップしてきた。ついてくるなら、お前らも付き合え」
ここでクエストNo. 3〜6を開示し、パート2へ移行しましょう。
「おれは『狂飆の頂』に行く」
救世主から奪った地図には『狂飆の頂』の場所も示されています。『狂飆の頂』はいつも台風が渦巻いている山岳であり、めったに人が立ち入ることはありません。『狂飆の頂』についてひとつ噂があり、尽きることのない嵐の中心部には、雲ひとつない青空があるという噂です。問われれば、そこから元の世界に戻れるという噂がないことも開示してよいでしょう。
「やり方があるんだよ。誰も彼もってわけにはいかない。そりゃ全員が抜け出せるんならそうしたさ。何も意地悪してえわけじゃない」
ラタスは笑いながら言います。その方法を明かすことはありません。
「それより。おれは堕落の国を後にする。だからそれまでにやりたいことをリストアップしてきた。ついてくるなら、お前らも付き合え」
ここでクエストNo. 3〜6を開示し、パート2へ移行しましょう。
補足
もし卓のプレイ時間をコントロールしたいなら、失敗時のラタスの追加行動をなしにしても良いでしょう。心の疵を抉る行動でクエストが達成された場合は、やりたいことリストを開示する前に、ラタスの過去についての話に繋げるとスムーズです。
ここでラタスが開示すべきことは右の4つです。
ここでラタスが開示すべきことは右の4つです。
狂飆の頂を目指していること
狂飆の頂に青空があること
狂飆の頂から元の世界に還ろうとしていること
堕落の国でのやりたいことリスト
クエストNo.3 おいしい果物を食べる | |
---|---|
概要 | 新鮮でおいしい果物を手に入れ、食べる |
目標値 | 8 |
消滅条件 | 成功するか、日数が20日目以降になると消滅 |
成功 | PC全員のHPを3点回復する(HPの上限を超える) |
失敗 | なし |
放置 | なし |
クエストNo.4 リベンジを果たす | |
---|---|
概要 | かつて倒し損ねた亡者を倒しに行く |
目標値 | 8 |
消滅条件 | 成功するか、日数が20日目以降になると消滅 |
成功 | 価値9以下の好きな小道具一つを手に入れる |
失敗 | なし |
放置 | なし |
クエストNo.5 海を見に行く | |
---|---|
概要 | この世界には海というものがあるらしい |
目標値 | 8 |
消滅条件 | 成功するか、日数が20日目以降になると消滅 |
成功 | 技能の一つを入れ替える(入れ替えなくてもよい) |
失敗 | なし |
放置 | なし |
クエストNo.6 女を抱く | |
---|---|
概要 | ナンパなどで誘うか買うかして、女と夜を過ごします |
目標値 | 9 |
消滅条件 | 成功するか、日数が20日目以降になると消滅 |
成功 |
お茶会MOD『情報秘匿』あり:PKのデッキを公開する
お茶会MOD『情報秘匿』なし:裁判開始時にJokerを入手する
|
失敗 | なし |
放置 | なし |
パート2 - やりのこしてきたもの
進め方
最期の旅路としてラタスは『狂飆の頂』に至るまでの道中をやり残したことをしながら進みます。奇しくも道中の多くはPCたちが通ってきた道のりを遡ることになります。仲間としての思い出話に花を咲かせても良いでしょう。
ここからのラタスからPCへの心の疵抉りは悪意的に問い詰めたり煽ったりするようなものではなく、これで最後になるPCのことを知るために話をしてもらうというものになります。PCからラタスへの心の疵抉りも同様で、振り返り、深く傷ついたりするようなことになっても伝えあう、というシーンを想定しています。
そうした演出が難しそうな心の疵を抉りたい場合は、道中に何かしらの困難を与えて、それを突破するのに心の疵の力を開放する必要がある、という形で演出しましょう。
ここから、各PC及びラタスの手番の開始時に1D6を振ります。出た数だけ日数が経過していきます。実際の進行にもよりますが、順調にいっていれば、リスト開始時は最後に救世主を殺してから2日目となり、3日目から数値を加算していくこととなります。クエスト1で失敗していれば6日目からとなります。20日以上経過する、あるいは全てのクエストを完遂するとパート3に移行します。
ここからのラタスからPCへの心の疵抉りは悪意的に問い詰めたり煽ったりするようなものではなく、これで最後になるPCのことを知るために話をしてもらうというものになります。PCからラタスへの心の疵抉りも同様で、振り返り、深く傷ついたりするようなことになっても伝えあう、というシーンを想定しています。
そうした演出が難しそうな心の疵を抉りたい場合は、道中に何かしらの困難を与えて、それを突破するのに心の疵の力を開放する必要がある、という形で演出しましょう。
ここから、各PC及びラタスの手番の開始時に1D6を振ります。出た数だけ日数が経過していきます。実際の進行にもよりますが、順調にいっていれば、リスト開始時は最後に救世主を殺してから2日目となり、3日目から数値を加算していくこととなります。クエスト1で失敗していれば6日目からとなります。20日以上経過する、あるいは全てのクエストを完遂するとパート3に移行します。
補足
意図的に全てのクエストを達成することは難しく調整してあります。特にルートが分岐したりはありません。やり残してきたことに対して、30日は短すぎるということと、すべてを清算することそのものに価値があるわけではないという意図があります。
しかし、あまりにダイスに大きく左右されるため、進行によってはGMの判断で日数を増減させるのも良いでしょう。間に合わなさそうなら、目安としてはクエストが2〜3個になるよう調整するとよいでしょう。
クエストはいずれもラタスと、彼の守ってきた3人の子供らが経験したことがないことだったり、心残りだったりです。
クエストの目標値は状況やロールに応じて減らしてもよいでしょう。例えば、パーティーメンバーにラタス好みの美女でもいたならば、クエストNo.6の目標値は減るかもしれません。
以下の道中シーン表を使うこともできます。ダイスを振っても、選んでもよいです。クエストによって向いているシーンが異なるため、提案してもよいでしょう。
しかし、あまりにダイスに大きく左右されるため、進行によってはGMの判断で日数を増減させるのも良いでしょう。間に合わなさそうなら、目安としてはクエストが2〜3個になるよう調整するとよいでしょう。
クエストはいずれもラタスと、彼の守ってきた3人の子供らが経験したことがないことだったり、心残りだったりです。
クエストの目標値は状況やロールに応じて減らしてもよいでしょう。例えば、パーティーメンバーにラタス好みの美女でもいたならば、クエストNo.6の目標値は減るかもしれません。
以下の道中シーン表を使うこともできます。ダイスを振っても、選んでもよいです。クエストによって向いているシーンが異なるため、提案してもよいでしょう。
道中シーン表
1D12 | 描写 |
---|---|
1 | ここはあなたが初めて仲間と出会った場所だ。あの日は確か――。 |
2 | 明け方。朝霧の中で目を覚ます。先に起きて、火をつついてる人がいる。 |
3 | 揺れる荷台。通りがかりの隊商に護衛として乗せてもらう。揺れる荷台で風を受ける。 |
4 | 突然の雨。近くにあった洞穴で雨宿り。あの亡者を倒したときも、そういえば――。 |
5 | 村。あなたがたが亡者を倒し救った村は、救世主の帰還を喜びで受け入れる。 |
6 | 今日は見通しがいい。真っ直ぐ伸びる道がどこまでも続いている。 |
1D12 | 描写 |
---|---|
7 | がらんどうの館。そこに住まう救世主を以前倒した。末裔たちはどこにいったのだろう。 |
8 | 口笛。仲間がなんとなしに吹いたそれが、今をあの日と結びつける。 |
9 | 街。以前と変わらぬ賑わいを見せている。 |
10 | 三叉路。今来た道。以前に来た道。あのときは選ばなかった道がある。 |
11 | 闇夜。たき火がパチパチと燃え爆る音。語り合うのにうってつけの夜。 |
12 | ここは仲間が死んだ場所だ。急ごしらえの墓だったが、まだちゃんと残っている。 |
パート3 - 『狂飆の頂』へ
進め方
日数が21日目を経過すると、『狂飆の頂』へ挑むことになります。すさまじい風が吹きすさぶ山岳は救世主の力をもってしても過酷で、思ったペースで進むことはできません。30日の期限に間に合わないのでは、と自然にわかってもらうことがこのパートの狙いです。
日数の経過によっては手番でパート3をやることはないかもしれませんが、特に問題はありません。予期せぬトラブルが続いて、難航していることを描写しましょう。
日数の経過によっては手番でパート3をやることはないかもしれませんが、特に問題はありません。予期せぬトラブルが続いて、難航していることを描写しましょう。
シーン
「まずいな。地図に描いてあるよりも、ずっと手前にも暴風域が広がっている」
堕落の国の荒廃に伴い、暴風域が地図を作られたころよりも広くなっているのです。30日までに間に合わないかもしれないというムードが漂います。
辺りは木が1つも無い、滑らかな岩肌の山岳です。すさまじい風に岩肌が削り取られてすべすべになっているためです。落石に割れて鋭利になった岩もたくさんあり、その先端に裂けた風が笛のように音を鳴らしています。うろつく亡者はこの風を乗りこなす身軽な亡者か、あるいは極めて重たい身体をした、風に吹き飛ばされない亡者だけです。
「ここから先にいくってことがどういうことなのか、わかってるんだろうな」
当然ながらこんな山岳地帯に他の救世主がいるわけもありません。行きと同様の日数が下山にも掛かるでしょう。30日まで時間が無いのは、PCたちも同じです。それはつまり、ラタスを殺さなければ、他のPCも同じように亡者になってしまうということです。
堕落の国の荒廃に伴い、暴風域が地図を作られたころよりも広くなっているのです。30日までに間に合わないかもしれないというムードが漂います。
辺りは木が1つも無い、滑らかな岩肌の山岳です。すさまじい風に岩肌が削り取られてすべすべになっているためです。落石に割れて鋭利になった岩もたくさんあり、その先端に裂けた風が笛のように音を鳴らしています。うろつく亡者はこの風を乗りこなす身軽な亡者か、あるいは極めて重たい身体をした、風に吹き飛ばされない亡者だけです。
「ここから先にいくってことがどういうことなのか、わかってるんだろうな」
当然ながらこんな山岳地帯に他の救世主がいるわけもありません。行きと同様の日数が下山にも掛かるでしょう。30日まで時間が無いのは、PCたちも同じです。それはつまり、ラタスを殺さなければ、他のPCも同じように亡者になってしまうということです。
補足
手番開始時の日数経過ダイスが30日を越えた場合、そのシーンを30日目とし、以降はダイスを振らず、そのまま30日目のこととしてシーンを続けてください。
その場合は裁判の『30日目に間に合わない場合』より進めてください。
しかし、頑張ってきたPCらが間に合わないことがかわいそうになってしまうこともあるかもしれません。ここでも、必要だと感じれば何かしらの修正を与えてもよいでしょう。
その場合は裁判の『30日目に間に合わない場合』より進めてください。
しかし、頑張ってきたPCらが間に合わないことがかわいそうになってしまうこともあるかもしれません。ここでも、必要だと感じれば何かしらの修正を与えてもよいでしょう。
狂飆の頂シーン表
このパートでは以下の狂飆の頂シーン表を使うこともできます。ダイスを振っても、選んでもよいです。
1D6 | 描写 |
---|---|
1 | 岩石の亡者だ! 風にびくともせず動き回っている。まともに戦うのは得策ではない。 幸い、こちらには気付いていないようだ。このままやり過ごそう。 |
2 | すさまじい砂嵐だ! ホワイトアウトし、立っているはずなのに前後左右どころか、上下すらもわからない。 隣にいるはずの仲間にさえ声も届かない。 |
3 | 難所に突風が吹き付ける! 仲間が崖から転落する。1人で這い上がるのは難しそうだ。 |
4 | 崩落だ! 進もうとしていた先が崩れ落ち、砕けて風と散るのを見る。 |
5 | 洞穴だ。強風が落ち着くまでやり過ごそう。 |
6 | 風が凪いだ。束の間の休息をとるか、あるいは今のうちに先を急ぐか。 |
ラタスの心の疵
青い窓の見える庭 ― ラタスの過去、憧憬。忘れられない場所、残してきたもの
「ドブネズミみたいな暮らしをしてたんだ」
「青い窓があったんだ、そこには」
ラタスはスチームパンク世界の極貧層の出自です。彼の世界は上層と下層に分断され、彼の住む下層には陽の光も届きませんでした。彼はスラム街に生まれ育ち、そこで3人の子供(名前はノルヴェ、ムスク、アルジェ)の面倒を見ていました。彼らが隠れ家にしていた場所は、上層を形成するプレートが剥落しており、四角く切り取られた青空が見えます。
子供たちは、ラタスの庇護がなければいつ死んでもおかしくはありません。あるいは既に死んでる可能性のほうが高いくらいでしょう。青い窓の憧憬は、まさしく心の疵なのです。
「あの向こうに行ったら何がしたいって、よく話していたんだよ」
その青い窓は酷い暮らしから見上げる希望であり、いつかその窓の向こう側にいくことを、3人とよく話していました。
「だからおれは狂飆の頂に行かなきゃならない」
「青い窓があったんだ、そこには」
ラタスはスチームパンク世界の極貧層の出自です。彼の世界は上層と下層に分断され、彼の住む下層には陽の光も届きませんでした。彼はスラム街に生まれ育ち、そこで3人の子供(名前はノルヴェ、ムスク、アルジェ)の面倒を見ていました。彼らが隠れ家にしていた場所は、上層を形成するプレートが剥落しており、四角く切り取られた青空が見えます。
子供たちは、ラタスの庇護がなければいつ死んでもおかしくはありません。あるいは既に死んでる可能性のほうが高いくらいでしょう。青い窓の憧憬は、まさしく心の疵なのです。
「あの向こうに行ったら何がしたいって、よく話していたんだよ」
その青い窓は酷い暮らしから見上げる希望であり、いつかその窓の向こう側にいくことを、3人とよく話していました。
「だからおれは狂飆の頂に行かなきゃならない」
プレイヤーに伝えるべき情報
劣悪な世界の育ちだった
3人の子供の庇護をしていた
青い窓は自由、未来、希望の象徴
元の世界に強い心残りがあり、戻りたいと考えている
狂飆の頂にあるという青空に到達したら、元の世界に戻れると思っている
汚れた手 ― ラタスの現在、傷心。重ねてきた犠牲、変わらないもの
「今も昔も何一つ変わらねえ」
「自分らと何ら変わらない奴らを殺して生きてきた」
ラタスの世界はたった1人、自分自身の命を繋ぐことさえ厳しい環境でした。ましてや3人の子供を守り、養うことはなおさらです。ラタスはそのために、『駆除屋』の仕事をしていました。為政者の暗部に従い、スラム街の人間を殺すことで、その階層にしてはまとまったお金を手にしていました。
「おれたちは救世主だ。おれたちが殺してきた奴らと同じだ」
「この前殺した救世主だって確かに酷い奴だったが、殺されるほどのことをしたのか?」
仲間と決めた3人を守り、自分と同じ境遇である極貧層の人間を殺すことは、贔屓の仲間だけを手元に残して、他の救世主を殺して生きることとラタスにとっては同じことでした。
「本当はこんなことをお前らに言いたくはなかったさ」
「そうだろ? 生きるにはそれしかない。それはよくわかってる」
救世主である以上は誰しも救世主を殺すしかありません。誰も30日ルールから逃れられないのです。
「だが、肉体は無事でも心が死ねば亡者になる」
「なさけねぇ話だが、おれはもう保たないだろう」
「そう遠くないうちに亡者になる」
「自分らと何ら変わらない奴らを殺して生きてきた」
ラタスの世界はたった1人、自分自身の命を繋ぐことさえ厳しい環境でした。ましてや3人の子供を守り、養うことはなおさらです。ラタスはそのために、『駆除屋』の仕事をしていました。為政者の暗部に従い、スラム街の人間を殺すことで、その階層にしてはまとまったお金を手にしていました。
「おれたちは救世主だ。おれたちが殺してきた奴らと同じだ」
「この前殺した救世主だって確かに酷い奴だったが、殺されるほどのことをしたのか?」
仲間と決めた3人を守り、自分と同じ境遇である極貧層の人間を殺すことは、贔屓の仲間だけを手元に残して、他の救世主を殺して生きることとラタスにとっては同じことでした。
「本当はこんなことをお前らに言いたくはなかったさ」
「そうだろ? 生きるにはそれしかない。それはよくわかってる」
救世主である以上は誰しも救世主を殺すしかありません。誰も30日ルールから逃れられないのです。
「だが、肉体は無事でも心が死ねば亡者になる」
「なさけねぇ話だが、おれはもう保たないだろう」
「そう遠くないうちに亡者になる」
プレイヤーに伝えるべき情報
救世主が救世主を殺さなければならないことに耐えられなくなった
それは元の世界でやってきたことと同じことだった
心が限界を迎えており、遠くないうちに亡者になるだろう、ということ
ふたつの疵が抉れたら
「おれはこの世界にきて初めて鳥を見た」
「亡者になって飛べるようにもなろうなら、きっと青空の向こうにいけるだろう」
「知ってるか? 亡者になってしばらくは、意識が残ってるって噂だぜ」
「もしそれが本当なら、飛んで元の世界に戻れば、あとはたった1往復」
「あいつらを青い窓の向こうに運んでやることができるだろうさ」
「どのみちおれはもう終わりさ」
「それなら、悪い賭けじゃないだろ、バカやろうども」
「亡者になって飛べるようにもなろうなら、きっと青空の向こうにいけるだろう」
「知ってるか? 亡者になってしばらくは、意識が残ってるって噂だぜ」
「もしそれが本当なら、飛んで元の世界に戻れば、あとはたった1往復」
「あいつらを青い窓の向こうに運んでやることができるだろうさ」
「どのみちおれはもう終わりさ」
「それなら、悪い賭けじゃないだろ、バカやろうども」
プレイヤーに伝えるべき情報
狂飆の頂で亡者になり、それによって元の世界に戻ろうとしていること
進行 - 裁判〜エピローグ
30日目に間に合わない場合
描写
風が吹き荒んでいる。
砕けた岩の破片が風に乗って肌を裂く。
先は見えず、目を開けてもいられない。
時折の閃光は嵐の中に起きる稲妻だ。
この世の終わりのような光景。
「終わりだな」
轟音の中にいるにもかかわらず、ラタスの呟く声が不思議と聞こえる。
その声は不思議と明るく、絶望の色はない。
「この調子じゃ間に合わない。わかってるだろ」
不意に風が弱まる。
「おれを殺せよ。このままじゃお前らも亡者になる」
「おれの命はお前らに奪われるんじゃない。くれてやるんだ。だから、生きて帰れよ」
傷を与えれば、その傷口から黒い煙が噴き上がる。
ラタスの姿が変容していく。
『ドブネズミみたいな暮らし』と自嘲していた言葉の通りに、ネズミのような毛皮に覆われる。
指の内側から肉を突き破って生えるのは、彼が得物にしてきた短剣。
五指は刃物の爪となり、もはや触れる全てを引き裂くことしかできない。
手は血で赤く濡れ、黒々とした被毛に対して浮かぶように照っている。
その背に翼はなく、這う者に相応しい長い尾がのたうつ。
ガスマスクの目は、そこに無き青空の色に染まっている。
ゆらりと頭を持ち上げて咆哮する。
――裁判開廷。
砕けた岩の破片が風に乗って肌を裂く。
先は見えず、目を開けてもいられない。
時折の閃光は嵐の中に起きる稲妻だ。
この世の終わりのような光景。
「終わりだな」
轟音の中にいるにもかかわらず、ラタスの呟く声が不思議と聞こえる。
その声は不思議と明るく、絶望の色はない。
「この調子じゃ間に合わない。わかってるだろ」
不意に風が弱まる。
「おれを殺せよ。このままじゃお前らも亡者になる」
「おれの命はお前らに奪われるんじゃない。くれてやるんだ。だから、生きて帰れよ」
傷を与えれば、その傷口から黒い煙が噴き上がる。
ラタスの姿が変容していく。
『ドブネズミみたいな暮らし』と自嘲していた言葉の通りに、ネズミのような毛皮に覆われる。
指の内側から肉を突き破って生えるのは、彼が得物にしてきた短剣。
五指は刃物の爪となり、もはや触れる全てを引き裂くことしかできない。
手は血で赤く濡れ、黒々とした被毛に対して浮かぶように照っている。
その背に翼はなく、這う者に相応しい長い尾がのたうつ。
ガスマスクの目は、そこに無き青空の色に染まっている。
ゆらりと頭を持ち上げて咆哮する。
――裁判開廷。
シーン
30日が経過します。頂までは遠く、全力で心の疵の力を解放しようとも、間に合いそうにありません。
このままでは、PCたちも亡者になってしまいます。ラタスは自ら、PCたちにラタス自身を殺すことを求めます。
はじめに公開していない場合は、ここでキャラクターシートを公開します。
このままでは、PCたちも亡者になってしまいます。ラタスは自ら、PCたちにラタス自身を殺すことを求めます。
はじめに公開していない場合は、ここでキャラクターシートを公開します。
裁判後
描写
「どうした」
亡者はいつも通りのどこか斜に構えた声音――間違いなくラタスの声で尋ねます。
PCらの名前を呼ぶ。
「なんつー顔してるんだよ」
空は晴れず、曇天のまま。
しかし亡者は赤く濡れたナイフの指で空を指す。
「見えるだろ、あの青い窓が。お前たちはあれを越えていくんだ」
6ペンスコインがこぼれ落ち、散らばる音。
「そうだろ、バカやろうども」
ラタスは死亡する。
亡者はいつも通りのどこか斜に構えた声音――間違いなくラタスの声で尋ねます。
PCらの名前を呼ぶ。
「なんつー顔してるんだよ」
空は晴れず、曇天のまま。
しかし亡者は赤く濡れたナイフの指で空を指す。
「見えるだろ、あの青い窓が。お前たちはあれを越えていくんだ」
6ペンスコインがこぼれ落ち、散らばる音。
「そうだろ、バカやろうども」
ラタスは死亡する。
30日目に間に合う場合
描写
風が吹き荒んでいる。
砕けた岩の破片が風に乗って肌を裂く。
先は見えず、目を開けてもいられない。
時折の閃光は嵐の中に起きる稲妻だ。
この世の終わりのような光景。
しかし――先行するラタスが叫ぶ。
「おい、嘘だろ……。おい、早くこい!」
不意に、視界が晴れる。
明るい光が差し込んでいる。
周囲をぐるりと囲みそびえ立つ雲の壁を辿ると、青空。
青い窓の見える庭。
「まさか間に合うなんて思ってもいなかった」
「お前らのお陰だ」
感慨深く青空を見上げる。
「いい空だな」
それから改めて向き直る。
「死ぬにはうってつけの日だ。殺してくれるな?」
「お前たちは、おれを殺してまた30日の猶予を得る」
「俺は亡者となって、あの窓の向こう側に行く」
「おれの命はお前らに奪われるんじゃない。くれてやるんだ。だから、生きて帰れよ」
傷を与えれば、その傷口から黒い煙が噴き上がる。
ラタスの姿が変容していく。
『ドブネズミみたいな暮らし』と自嘲していた言葉の通りに、ネズミのような毛皮に覆われる。
指の内側から肉を突き破って生えるのは、彼が得物にしてきた短剣。
五指は刃物の爪となり、もはや触れる全てを引き裂くことしかできない。
手は血で赤く濡れ、黒々とした被毛に対して浮かぶように照っている。
その背に翼はなく、這う者に相応しい長い尾がのたうつ。
ガスマスクの目は、そこに無き青空の色に染まっている。
ゆらりと頭を持ち上げて咆哮する。
――裁判開廷。
砕けた岩の破片が風に乗って肌を裂く。
先は見えず、目を開けてもいられない。
時折の閃光は嵐の中に起きる稲妻だ。
この世の終わりのような光景。
しかし――先行するラタスが叫ぶ。
「おい、嘘だろ……。おい、早くこい!」
不意に、視界が晴れる。
明るい光が差し込んでいる。
周囲をぐるりと囲みそびえ立つ雲の壁を辿ると、青空。
青い窓の見える庭。
「まさか間に合うなんて思ってもいなかった」
「お前らのお陰だ」
感慨深く青空を見上げる。
「いい空だな」
それから改めて向き直る。
「死ぬにはうってつけの日だ。殺してくれるな?」
「お前たちは、おれを殺してまた30日の猶予を得る」
「俺は亡者となって、あの窓の向こう側に行く」
「おれの命はお前らに奪われるんじゃない。くれてやるんだ。だから、生きて帰れよ」
傷を与えれば、その傷口から黒い煙が噴き上がる。
ラタスの姿が変容していく。
『ドブネズミみたいな暮らし』と自嘲していた言葉の通りに、ネズミのような毛皮に覆われる。
指の内側から肉を突き破って生えるのは、彼が得物にしてきた短剣。
五指は刃物の爪となり、もはや触れる全てを引き裂くことしかできない。
手は血で赤く濡れ、黒々とした被毛に対して浮かぶように照っている。
その背に翼はなく、這う者に相応しい長い尾がのたうつ。
ガスマスクの目は、そこに無き青空の色に染まっている。
ゆらりと頭を持ち上げて咆哮する。
――裁判開廷。
シーン
堕落の国において、あるいは唯一かもしれない青空の下、ラタスは初めての青空を見ます。
何もかもがハッピーエンドではありませんが、何か満たされたものを感じつつ、
ラタスは自ら、PCたちにラタス自身を殺すことを求めます。
はじめに公開していない場合は、ここでキャラクターシートを公開します。
何もかもがハッピーエンドではありませんが、何か満たされたものを感じつつ、
ラタスは自ら、PCたちにラタス自身を殺すことを求めます。
はじめに公開していない場合は、ここでキャラクターシートを公開します。
裁判後
描写
「どうした」
亡者はいつも通りのどこか斜に構えた声音――間違いなくラタスの声で尋ねます。
PCらの名前を呼ぶ。
「なんつー顔してるんだよ」
亡者は赤く濡れたナイフの指で空を指す。
晴天。
「見えるだろ、あの青い窓が。お前たちはあれを越えていくんだ」
6ペンスコインがこぼれ落ち、散らばる音。
「そうだろ、バカやろうども」
ラタスは死亡する。
亡者はいつも通りのどこか斜に構えた声音――間違いなくラタスの声で尋ねます。
PCらの名前を呼ぶ。
「なんつー顔してるんだよ」
亡者は赤く濡れたナイフの指で空を指す。
晴天。
「見えるだろ、あの青い窓が。お前たちはあれを越えていくんだ」
6ペンスコインがこぼれ落ち、散らばる音。
「そうだろ、バカやろうども」
ラタスは死亡する。
PK亡者『ブラッドスクーパー』
キャラクターシート
キャラクターシート『???』
情報秘匿MODを採用している場合の、クエストNo.6成功時公開データ。情報秘匿MODを採用しない場合も、裁判まではこちらを参照するとよいでしょう。
情報秘匿MODを採用している場合の、クエストNo.6成功時公開データ。情報秘匿MODを採用しない場合も、裁判まではこちらを参照するとよいでしょう。
ブラッドスクーパーはラタスが亡者化した姿です。窓を越える空想を本当に信じることなど出来ず、地を這うものの姿として黒いネズミの姿をとります。輩を殺してきた罪悪感が、その五指をナイフの爪へと変貌させました。
配下は仕込、人望と攻撃する必要のない配下なので、効果のみ得て、存在しないものとして扱います。
データのカスタマイズ
PKデータを元に、自由にカスタマイズして構いません。
カスタマイズ例
『女王命令』を『大洪水』にし、『万能』を『器用』にする
器用でカードを捨てて、何がなんでも大洪水を通すタイプ。他の動きがとりづらくなる代わりに、致命打を与えやすくなります。
器用でカードを捨てて、何がなんでも大洪水を通すタイプ。他の動きがとりづらくなる代わりに、致命打を与えやすくなります。
『間隙』を『きっぷ拝見』or『名無しの森』にする
妨害とのコンボではなく、女王命令とのコンボを狙うタイプ。どちらも愛型PCへの致命打になります。
妨害とのコンボではなく、女王命令とのコンボを狙うタイプ。どちらも愛型PCへの致命打になります。
強化MODを導入する
猟奇1→3とし、衣裳『第二ボタン』を獲得しましょう。HPは54、亡者の凶器の威力は1D6+6となります。強化MODを入れる際は参加者に了承を取り、双方合意の上で強化裁判を楽しんでください。
猟奇1→3とし、衣裳『第二ボタン』を獲得しましょう。HPは54、亡者の凶器の威力は1D6+6となります。強化MODを入れる際は参加者に了承を取り、双方合意の上で強化裁判を楽しんでください。
カットイン
本シナリオのプレイ及びリプレイ作品(Dead or Aliceのプレイ風景を再現する読み物や動画作品など)にのみ利用することができます。
外部リンク