PCたちは、堕落の国へと招待されたばかりの救世主です。右も左も分からないまま亡者に襲われたところを救世主『天宮 ありす』に助けられ、ペットという不本意な形で保護を受けます。

ありすは自分が唯一の救世主であると信じており、PCたちを手放す気がありません。PCたちは、ありすと同じ救世主として、スタートラインに立つことができるのでしょうか。それとも、いつまで経ってもペットのまま、少女の腕の中に囚われ続けてしまうのでしょうか。

作成されたキャラクターシートは事前によくチェックしましょう。【猟奇】による攻撃、【才覚】による妨害、【愛】による防壁＆回復を1人ずつが担当すれば、生存率がぐっと上がります。もし役割が足りていなかったり、偏りすぎている場合は、それとなく教えてあげてください。

このMODは『PCが存分に手番行動のチュートリアルができる』かわりに『PKがPC全員の心の疵を狙える（PCが存分に横槍のチュートリアルができる）』ことを意図したものです。そのため、適用する場合は可能な限りPC全員の心の疵をまんべんなく狙ってあげてください。

ここでは、PCたち堕落の国に招待された直後を描きます。互いに状況を確認するなら、PCたちは全員、手紙を読んでいたらここへ飛ばされたということが判明します。また、手紙とともに奇妙なコイン（＝六ペンスコイン）を所有していることにも気づきます。

ある程度会話が進んだら、サンプルキャラクター脅威度1の亡者『人喰い三月』をけしかけて、1ラウンド限定のチュートリアル裁判を行いましょう。

この裁判では判決表を振っても〈死亡〉せず、HP・前科・小道具・心の疵などのデータは裁判終了時に元に戻ります。プレイヤーに伝えて、裁判のおおよその流れをレクチャーしてください。

各自手札を捨てて1ラウンド目が終了したタイミングで『天宮 ありす』が割って入り、人喰い三月にトドメを刺します。裁判はここで終了となります。

「亡者は救世主のありすにしかたおせないの。だから、今日からあなたたちは『ペット』としてありすに尽くして、ありすに守られながら日々をすごすのよ」

ありすは自身が救世主であり、PCたちはありすのペットになるためにここへきたと主張します。『基礎知識』の部分はあえて話しません。そしてPCたちの六ペンスコインを無理矢理没収して、自身の住む『枯れ葉屋敷』へと連れて行きます。

屋敷では三人で一つの部屋を与えられ、使用人のようにこき使われたり、おもちゃのように遊ばれたりしながら日々を過ごすことになります。

ここで、天宮 ありすのPKシートを公開してください。

お茶会では、ありすに拉致されてからの日々を描きましょう。日々の中でありすの疵を刺激したり、疵を舐めあったりしながら、裁判の準備を進めていきます。シーン表はルールブック付属の館シーン表を使用してください。

お茶会の途中、どのタイミングでもいいので次のマスターシーン「白兎の来訪」を挟んでください。

ある日の深夜、PCたちの部屋に小さなノック音が響きます。来訪者はありすのペットの一人・白兎の末裔で、ありすに奪われた六ペンスコインをPCたちに手渡します。そしてPCたちに『基礎知識』と同じ情報を与え、救世主としてこの屋敷の外へ脱することを願います。

「あなたがたはペットなどではありません。天宮 ありすと同じ救世主の一人です」
「ここから北に町があります。この六ペンスコインを持って、彼女からお逃げください」

裁判では、枯れ葉屋敷を脱出するシーンを描きます。ありすに直接伝えても構いませんし、こっそり抜け出そうとしても構いません。どちらにせよありすはPCたちを見つけ、激昂し、ほかのペットたちを引き連れて裁判を仕掛けます。

「なんで逃げるの？ありすのペットなのに！守ってあげるって言ったのに！」
「許さない！ありすのペットにならないのなら、今ここでバラバラのグチャグチャになっちゃえ！」

基本威力はたったの3しかありませんが、自身に『祝福』を使えば威力が3点増加します。更に、配下が倒れたら『孤軍』と『怨讐』の効果により、計12点ものダメージを与えるようになります。『窮鼠』が発動して3回行動になるため、できる限り『怨讐』のカードを溜めておきましょう。

配下2人は愛型のPCに『暗器』を使用し、《衰弱》《猛毒》《封印》などの不調を付与していきましょう。ありすが『怨讐』を3回使う頃にこれらの不調が付与されていれば、〈昏倒〉を狙うチャンスです。

ありすは〈昏倒〉または〈死亡〉します。〈昏倒〉の場合でも、トドメを刺して構いません。ありすが〈死亡〉した場合、ペットたちは怯えて逃げ出す、感謝の言葉を述べるなど、それぞれが異なる反応を見せるでしょう。

どちらにせよ、PCたちは晴れて救世主として屋敷の外へ出ることができます。

PCたちは屋敷に連れ戻された上で、手足を鎖で繋がれます。もう一度脱出のチャンスが訪れるかどうかは定かではありません。

すべてのPCが〈発狂〉しているものとして『亡者化の確認』の処理をしてください。

天宮 ありす（あまみや -）は、棚井戸付近に存在する大きなお屋敷、通称『枯れ葉屋敷』を支配する小学三年生の救世主です。天真爛漫かつ傲慢な性格で、自身を唯一の救世主だと信じきっています。屋敷には二十数名ほどのペット（＝奴隷）が共に住んでおり、ありすにこき使われているようです。

疵のチカラと無垢な思い込みがあれば、幼い少女でもこの過酷な世界を生き抜く事が可能です。ありすはその一例となる救世主ですが、プレイヤーやPCとの相性を考慮して性別や年代を変更しても構いません。

「この世界にきたばかりなの？ ふうん……それじゃあ、あなたたちはありすの新しいペットってことね！」

「大丈夫よ。ペットのみんなを怖がらせる悪い亡者たちは、ありすがやっつけてあげるからね」

「ありすに刃向かうまぬけなやつらは、みーんなバラバラのグチャグチャにしてやったわ。あなたたちはおりこうさんだから、そんなことしないよね？」

「ばかなやつら……ここにいればずっとしあわせでいられたのに」